記事 - 太陽光発電|株式会社 恒電社(コウデンシャ)

2027年度から事業用太陽光の地上設置は原則FIT/FIPの新規支援対象外に|工場の屋根・駐車場・空き地で何が変わるか【2026年最新】

作成者: 恒石陣汰|Oct 23, 2026, 2:07:04 PM

本稿の目的:2026年度の落札案件を除き、2027年度から事業用太陽光の「地上設置区分」がFIT/FIP制度の新規支援の対象外になることについて、決まったことと検討中のことを分け、工場や倉庫の屋根・駐車場・敷地の空き地で何が変わるかを整理します。

結論:事業用太陽光の地上設置区分は、2026年度の落札案件を除き、2027年度からFIT/FIPの新規認定を受けられなくなります。屋根設置は2027年度認定分まで初期投資支援(最初の5年間19円/kWh)が設定済みです。ソーラーカーポート等を支援の対象に加える方針案が2026年9月30日に示され、認定基準や価格は2027年1月頃にかけて検討されます。

見落としがちなリスク:9月30日の事務局案では、「工業団地・商業施設等の敷地内」を支援重点化の対象とはしない方針案が示されています。単独の工場の敷地がどう扱われるかは今後の制度設計を確認する必要があります。敷地の空き地で新たに地上設置を計画し、FIT/FIPによる売電支援を収支に見込んでいる場合は、2027年度以降、その前提を見直す必要があります。

FIT(固定価格買取制度)とFIP(市場価格に連動して支援する制度)は、再生可能エネルギーで発電し、特定契約や市場取引などによって供給された電気(売電する電気)の量に応じて支援する制度です。

この支援の対象が、2027年度から大きく変わります。事業用太陽光発電のうち地上設置の区分は、2026年度の落札案件を除き、2027年度以降、FIT/FIP制度の新規支援の対象外になることが決まっています。一方で、屋根設置は少なくとも2027年度認定分まで支援の対象で、屋根以外にどの設置形態を支援の対象にするかが、2026年秋から国の審議会で検討されています。

本稿では、2026年10月時点の経済産業省・資源エネルギー庁の公表資料をもとに、「決まったこと」「検討中のこと」「工場・倉庫で確認しておきたいこと」の順に整理します。

決まったこと:2027年度から地上設置区分はFIT/FIPの新規支援の対象外

調達価格等算定委員会は2026年2月5日の「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」で、事業用太陽光発電(地上設置)について「2027年度以降、FIT/FIP制度における支援の対象外とすることとした」と取りまとめました。経済産業省はこの意見を踏まえ、2026年3月19日に2026年度以降の買取価格等を公表しています。

意見書が理由として挙げているのは、次の点です。

  • FIT制度の開始以降、全ての規模でコストが着実に下がり、入札では上限価格を下回る落札が続いていること
  • PPA(電力購入契約)による収益の確保などで、FIT/FIPに頼らない案件も見られるようになったこと
  • 一方で、自然環境・安全・景観など、地域との共生に関わる課題が目立ってきたこと

区分ごとの扱いは次のとおりです(2026年3月19日の経済産業省公表資料より)。

区分2026年度2027年度
10kW以上50kW未満(地上設置)9.9円/kWh支援の対象外
50kW以上250kW未満(地上設置・入札対象外)9.6円/kWh支援の対象外
250kW以上(地上設置・入札対象)入札で決定(上限9.6円/kWh)支援の対象外
10kW以上(屋根設置)初期投資支援(19円・8.3円)初期投資支援(19円・8.3円)

※屋根設置の初期投資支援は、最初の5年間が19円/kWh、6〜20年目が8.3円/kWh。2025年度下半期から2027年度までの認定分に適用されます。

この変更は新規認定の話です。2026年度版の「FIT・FIP制度ガイドブック」は、地上設置区分は2026年度の落札案件を除いて2027年度以降の新規認定の対象にならないとしたうえで、2026年度以前に認定を受けた案件と2026年度の落札案件については、FIP制度への移行を認めると記載しています。関係する省令・告示の改正は2025年度末に公布され、2027年4月1日に施行される予定です。

検討中のこと:屋根以外にどこを支援するか(2026年9月30日時点の方針案)

地上設置を原則として支援の対象外とする一方、国の審議会では、「地域との共生が図られた形」で導入が期待される太陽光に支援を絞り込む(重点化する)方向で、具体的な対象が検討されています。その代表として位置づけられているのが屋根設置で、資源エネルギー庁の資料は、建物本来の機能を保ったまま屋根に設備を加えるため、新たな土地開発を伴わず周辺への影響が比較的限られる点を挙げています。

屋根以外の候補については、再生可能エネルギー主力電源化小委員会(総合資源エネルギー調査会)が関係省庁・事業者団体・地方自治体からヒアリングを行い、2026年9月30日の第5回会合で、事務局から次の整理が示されました。いずれも「方針としてはどうか」という事務局案の段階です。

候補の類型9月30日の方針案
国・自治体が所有する土地(貸付け等で監督が続く場合)重点化の対象とする
温対法の地域脱炭素化促進事業計画の認定を受けた事業重点化の対象とする
ソーラーカーポート重点化の対象とする
空港・道路・鉄道・港湾等のインフラ空間重点化の対象とする
工業団地・商業施設等の敷地内重点化の対象とはしない
ゴルフ場跡地等の未利用地、耕作放棄地・荒廃農地重点化の対象とはしない
地域新電力への供給、災害時の電力供給重点化の対象とはしない
営農型太陽光発電農林水産省の制度改正を優先し、次年度に引き続き検討

工業団地・商業施設等の敷地内を重点化の対象としない案が示された理由として、資料は、既存施設の機能を維持する範囲で設置されることが制度上の前提になっておらず従前の土地利用が大きく変わらないことを担保できない点と、統一的な定義がなく客観的に範囲を確認しにくい点を挙げています。

ソーラーカーポートについては、駐車場の上部空間を使うため新たな土地開発を伴わない点が評価されました。確認方法として、建築基準法上の検査済証の写しや、全てのパネルがカーポート上にあることを示す写真・図面の提出を求める案が示されています。あわせて、支援によって月極駐車場やコインパーキングのような単独の駐車場の新設を誘発しないか、という論点も残されています。

今後は、認定基準、FIT/FIPのどちらを使えるか、支援価格・期間などの具体的な制度設計を2026年10月から2027年1月頃に検討し、2027年2〜3月頃のパブリックコメントを経て、2027年4月1日の施行を目指す日程が示されています。ソーラーカーポートが2027年度にどの価格・条件で支援されるかは、2026年10月時点では決まっていません。

工場・倉庫への影響:屋根・駐車場・敷地の空き地で整理する

工場や倉庫で太陽光を置ける場所は、主に屋根、駐車場、敷地内の空き地の3つです。2027年度以降のFIT/FIPの扱いを、2026年10月時点の資料で整理すると次のとおりです。

設置場所2027年度のFIT/FIP計画で確認したいこと
建物の屋根屋根設置区分として支援の対象。2027年度認定分の価格は設定済み屋根の強度・防水と、建物の書類(検査済証・登記)がそろうか
駐車場(ソーラーカーポート)重点化の対象とする方針案。認定基準・価格は未定支援の有無に左右されない自家消費の採算で組めるか
敷地内の空き地(地上設置)原則として新規支援の対象外(2026年度落札案件を除く)。工業団地・商業施設等の敷地内は重点化の対象としない方針案FIT/FIPの売電支援を見込まず、自家消費で採算が合うか

FIT/FIPは、系統へ送って売った電気の量に応じて支援する仕組みです。2026年8月24日の小委員会資料は、余剰売電を伴わない純粋な自家消費やオンサイトPPAについて、FIT/FIPではなく他の支援措置と役割分担して後押ししていく考え方を示しています。売電を伴わない完全自家消費であれば、FIT/FIPの支援対象の見直しによる直接の影響はありません。一方、少量でも余剰電力をFIT/FIPで売る計画では、設置場所に応じて新規認定を受けられるかを確認する必要があります。

FIT/FIPによる支援を受けて売電する場合は、再エネ特措法に基づく事業計画認定など、制度所定の手続きが必要です。FIT/FIP認定以外の手続きの要否は、設備の規模や系統への接続方法などに応じて個別に確認してください。売電型と自家消費型で必要な手続きがどう違うかは、次の記事で手順ごとに整理しています。

太陽光発電の申請とは?手続きの流れ・所要期間と自家消費で省ける申請

屋根への導入余地は大きく残っています。2026年8月24日の小委員会資料に掲載された日本エネルギー経済研究所等の推計では、事業用の屋根の導入ポテンシャルが137.2GWとされ、FIT/FIPによる足元の導入量(地上・屋根の比率から機械的に推計した値)は6.1GWです。資料自身が「推計の仮定により結果は異なる」としているため幅を持って見る必要がありますが、屋根設置の導入余地の大きさを示す材料の一つです。

駐車場に太陽光を載せる場合の構造や費用の考え方は、ソーラーカーポートの基礎を解説した次の記事で確認できます。

【法人向け】ソーラーカーポートとは?埼玉県のメーカーの導入事例からわかるメリットと考慮すべき点

実際に工場の駐車場へカーポート型を追加した例として、埼玉県のジョイントメーカー・株式会社昭和技研工業様の導入事例があります。従業員の多くが車で通勤していることから、車が汚れない駐車環境を提供し、人材採用にもプラスになることを考えてカーポートを導入した経緯が紹介されています。屋根以外の場所について、脱炭素だけでなく駐車環境や人材採用といった社内での便益も含めて導入価値を考えた例として参考になります。

【導入事例】埼玉県の製造業がソーラーカーポートを設置した理由は“脱炭素”と“人材採用”の合致

屋根設置区分で支援を受ける場合の確認ポイント

屋根設置区分は、地上設置が屋根設置として認定を受けることのないよう、固有の認定基準と提出書類が定められています。2026年7月28日の小委員会資料に掲載された現行の扱いは次の4点です。

  1. 検査済証:設備を設置する建物が建築基準法上の検査済証の交付を受けていること(写しを提出)
  2. 建物の登記:不動産登記法上の建物の表題登記を完了していること(登記事項証明書を提出)
  3. パネルの配置:太陽光パネルの全てを屋根に設けること(その旨を示す写真・図面を提出)
  4. 電気事業法の届出:工事計画届出または使用前自己確認結果届出を行っていること(届出書の写しを提出)

古い建物では、検査済証が手元にない場合があります。弊社が既存設備の認定内容を変更する手続きをお手伝いした案件でも、建物の検査済証の写しと、申請データのパネル枚数が配置図と一致していることを示す書類の提出を求められ、補正に期間を要しました。検査済証が見つからない場合でも、完了検査日や検査済証番号が記載された台帳記載事項証明書などで代用できる場合があるため、計画の早い段階で建物の書類をそろえておくと手続きが止まりにくくなります。

このほか、2026年度・2027年度は50kW以上の屋根設置は原則としてFIP制度のみ、10kW以上50kW未満はFITとFIPを選べます。10kW以上50kW未満でFITの認定を受ける場合は、発電した電気の30%以上を自家消費することなどを求める「地域活用要件」があります。屋根設置区分は入札制度の適用を免除されており、説明会等の事前周知は認定基準ではなく努力義務とされています。

支援の有無より先に、購入する電力量をどれだけ減らせるかで判断する

恒電社では、外から環境価値を買う前に、まず使う電気と購入する電気を減らす、という順序で脱炭素の進め方を考えています。今回の見直しで売電への支援は屋根などに絞られますが、敷地内で使う電気をできるだけ敷地内でまかない、系統から受ける電力量を減らすという考え方は、FIT/FIPの対象になるかどうかとは関係なく成り立ちます。

そのため計画の順番としては、工場の昼間の電力使用量と屋根・駐車場の面積から自家消費でまかなえる量を先に見積もり、そのうえで余る電気があれば屋根設置区分のFIT/FIPを使うかを検討する流れをおすすめします。自家消費型の仕組みや導入方法の違いは、次の記事で詳しく解説しています。

自家消費型太陽光発電とは?仕組み・メリットと注意点、3つの導入方法を埼玉の工場事例で解説

売電収入を前提にしない場合の投資回収年数の出し方は、計算式と数値例をFAQにまとめています。

自家消費型太陽光発電の「投資回収年数」は、どのように試算したら良いのか?

自社で設備を購入するか、PPA事業者が設置・所有するオンサイトPPAを使うかで迷っている場合は、両方式の違いと選び方を対談形式で整理したセミナー動画をご覧ください。屋根の広さや電気の使用量によって判断が分かれる点や、余剰電力の扱いについても触れています。

「PPA」と「自社購入」|自家消費型太陽光発電の導入方法比較(セミナー見逃し配信)

よくある質問

Q. すでにFIT/FIPの認定を受けている地上設置の発電所はどうなりますか?

A. 今回の見直しは2027年度以降の新規認定に関するもので、すでに認定を受けた案件を一律に支援の対象外とするものではありません。2026年度版のFIT・FIP制度ガイドブックは、2026年度以前に認定を受けた案件と2026年度の落札案件について、FIP制度への移行も認めると記載しています。個別案件への適用は、認定内容と資源エネルギー庁の最新の公表情報をご確認ください。

Q. 売電しない自家消費だけの太陽光にも影響しますか?

A. FIT/FIPは系統へ送った電気の量に応じて支援する制度のため、売電を行わない完全自家消費の設備は、もともとFIT/FIPの対象ではありません。影響を受けるのは、余った電気をFIT/FIPで売ることを計画に組み込んでいる場合です。売電型と自家消費型の違いは、売電型太陽光発電と自家消費型太陽光発電の違いで整理しています。

Q. 2027年度に屋根設置で認定を受けた場合の価格は決まっていますか?

A. 2026年3月19日に経済産業省が公表した買取価格等では、屋根設置(10kW以上)の2027年度の価格も、最初の5年間19円/kWh、6〜20年目8.3円/kWhの初期投資支援スキームとして設定されています。一方で調達価格等算定委員会は、支援を重点化する対象を含む2027年度以降の太陽光発電への具体的な支援のあり方を、2026年度の委員会で検討・決定するとしています。認定を申請する時点の告示と資源エネルギー庁の公表資料をご確認ください。

まとめ

  • 事業用太陽光の地上設置区分は、2026年度の落札案件を除き、2027年度以降、FIT/FIPの新規支援の対象外になることが決まっています
  • 屋根設置は2027年度認定分まで、最初の5年間19円/kWhの初期投資支援が設定済みです
  • ソーラーカーポート等を支援の対象に加える方針案が2026年9月30日に示され、認定基準・価格は2027年1月頃にかけて検討されます。工業団地・商業施設等の敷地内の地上設置は、支援重点化の対象とはしない方針案です
  • 屋根設置区分では検査済証・登記・パネル配置・電気事業法の届出の書類が必要で、古い建物では早めの準備が手続きを左右します

恒電社は、自家消費型太陽光発電の設計・調達・施工を、屋根上・カーポートの両方で手がけています。お客様が設備を所有する購入型のEPCに加え、PPA事業者から受託するオンサイトPPA案件のEPCにも対応しており、太陽光導入に伴う各種申請もお手伝いしています。

2027年度の見直しを受けて、「自社の屋根や駐車場で、売電に頼らずどれだけの電気をまかなえるか」「屋根設置区分の書類が建物でそろうか」を確かめたい場合は、工場の電力使用量と建物の図面をお手元にご相談ください。設置場所ごとに、自家消費でまかなえる量と必要な手続きを整理してお伝えします。