判断の要点
太陽光発電のメリットは、日中の発電をどれだけ自家消費できるかで大きく左右されます。発電量のピーク(太陽がよく出る時間帯)と、施設の電力消費ピークがどれだけ重なるかが、システムの効率を左右します。同じ出力の設備でも、稼働時間帯が違えば得られる効果は変わるということです。
そのため設計では、業種ごとの電力使用パターンをもとに、太陽光の出力・パネル枚数・パワーコンディショナ(パワコン)の容量を調整し、最適なシステム構成を組み立てます。枚数の決まり方については、太陽光パネルの設置枚数がどのような要件や計算方法で決まるのかで解説しています。
業種別には、次のような傾向があるといえます。
| 業種 | 電力使用の傾向 | 太陽光発電との相性 |
|---|---|---|
| 製造業 | 日中に安定した電力を使い続けることが多い | 発電ピークと消費ピークが重なりやすく、自家消費型の相性が非常に良い。特に24時間365日稼働が必要な冷凍冷蔵設備を持つ業界と相性が良い |
| オフィスビル | 稼働時間が朝から夕方まで | 太陽光発電の時間帯と一致しやすく、導入メリットが高い |
| 飲食・サービス業 | 店舗型は昼の稼働がメイン。夜がメインの店舗もある | 昼が主体なら恩恵を受けやすい。夜がメインなら蓄電池との組み合わせ導入も検討の余地がある |
表のとおり、昼間が主体の事業帯ほど恩恵は大きく、夜間稼働が中心の場合は蓄電池と組み合わせることで効率の上昇を見込めます。業種ごとの向き不向きの考え方は、自家消費型太陽光発電と相性が良い企業の特徴でも取り上げています。24時間365日稼働の現場の例としては、食品製造業の株式会社フレッシュキッチン様が自家消費型太陽光発電を導入した事例があります。
繁忙期や季節によって電力の使用量が変動するお客様は、確かに多くいらっしゃいます。ただし業種の分類で設計の型を決めるのではなく、お客様ごとの1年間の電力使用データをもとにシミュレーションを作成し、それに合わせて提案するのが基本です。
その土台になるのが「30分値」です。30分値とは、電力会社から提供される電力使用実績データで、30分ごとの消費電力量を記録したものを指します。1年分を収集すると1日あたり48コマ×365日=17,520コマとなり、電力の使用傾向を非常に高い精度で可視化できるのが特徴です。
この年間17,520コマの実績と太陽光発電の出力シミュレーションを重ね合わせ、太陽光の電気をどれだけ有効に使えるかを判断します。削減できる金額の考え方は、自家消費型太陽光発電を導入した場合に実際にどれくらい電気代を削減できるのかにまとめています。
稼働率や「どの時間帯にどれだけ電力を使っているか」も重要な情報ですが、1日の時間軸だけを見ても設計はできません。曜日ごとの稼働傾向と季節ごとの変動を年間で並べてはじめて、発電した電気が実際に使われる量が見えてきます。
図は、こうした検討に用いる発電シミュレーションのイメージです。
今後の設備投資や製造ラインの増設によって電力使用量が増える見込みがある場合は、それを踏まえてパネルの設置規模を少し大きめに見積もる対応も可能です。実際に、過去にもそういったケースがありました。
製造ラインを増設するケースでは、既存ラインの実績から1本あたりの電力使用量を想定します。「製造ラインが4本から6本なら1.5倍、8本なら2倍」といった仮説を立て、お客様の合意の上で設計・調整を行います。
――繁忙期の電力使用量に合わせて設計するのですか?
「特定の繁忙期の時期・電力使用量に合わせて、太陽光発電システムの設計をする」というよりは、「年間を通じた自家消費率やコスト削減効果が最も高くなるポイントを見極める」という設計スタンスで対応しています。
――年間のデータで、最も重く見ているのはどこですか?
もちろん最終的には、稼働率や「どの時間帯にどれだけ電力を使っているか」といった情報も重要ですが、それ以上に大切なのは、たとえば「土日は電力を使っていない」など、曜日ごとの稼働傾向や年間を通した使用パターンをトータルで把握することです。
――増設分は、どのように試算するのですか?
たとえば、すでに稼働している製造ラインが4本あり、そこに新たに2本追加する場合、1本あたりの電力使用量を想定することで、太陽光パネルがどの程度必要になるかを大まかに試算できます。こうした仮説を複数立てることで、実際の使用量に近い設計を導き出すことが可能です。
恒電社では、自家消費型太陽光発電のEPC(設計・調達・施工)として、電力使用データの分析からシミュレーション、設備構成のご提案までを担っています。将来の増設計画がある場合は、その仮説もあわせて設計に反映します。
電力会社から提供される1年分の電力使用実績データ(30分値)をご用意ください。1年分そろっていれば、それに基づいた設計をご提案できます。設備投資や製造ラインの増設の予定がある場合は、その計画もあわせてお知らせください。
高圧受電契約の基本料金は、30分値データのうち直近1年間の最大値(最大デマンド=30分単位で見たときの最大の使用電力)をもとに決まります。太陽光発電の稼働時間帯と最大デマンドが発生する時間帯が重なる場合は、基本料金の抑制につながる可能性もあります。最大デマンドがいつ発生しているかも、同じ30分値データで確認できます。
休日に稼働していない事業所かどうかは、曜日ごとの稼働傾向として年間のデータから確認します。そのうえで、休日を含む年間の使用パターンと発電シミュレーションを重ね合わせ、年間を通じた自家消費率やコスト削減効果を踏まえて、出力やパネル枚数を決めます。
電気代の削減余地は、いまの契約単価と電気の使い方で会社ごとに異なります。自家消費型太陽光発電や省エネで購入電力量をどこまで減らせるか、御社の条件での検討からご相談いただけます。