判断の要点
設置枚数は、次の順序で決めていきます。
「屋根に敷ける最大枚数」と「30分単位の電力消費データ」を重ねて自家消費率を出すことが、枚数決定の起点です。自家消費率とは、発電した電気のうち自社で使い切れた割合を指し、発電した電力をすべて使い切っている状態が100%にあたります。
発電量のシミュレーションでは、30分単位の電力消費データに加え、季節や曜日ごとの使用パターンも考慮します。
加えて、設計者の経験による見立ても要件のひとつです。感覚的に当たりをつけたうえで、最終的にはシミュレーション結果を見て決定していきます。
シミュレーションを繰り返していくと、自家消費率が100%に近い点が最適に見えます。ただし、自家消費率を100%に近づけようとシステム容量を小さくしすぎると、発電量自体が十分でなくなり、結果的に電力会社から買う電気の削減率が大きくならないことがあります。
そこで最終的には、発電量と自家消費率のバランスを考慮し、90%台の自家消費率となるパネル枚数で確定することが多いです。
導入によってどの程度電気代が下がるかの考え方は、自家消費型太陽光発電を導入した場合、実際にどれくらい電気代を削減できるのか?で解説しています。
自家消費率は曜日によって姿を変えます。平日の自家消費率が100%近くになっている場合は、発電した電力をすべて使い切っている理想的な状態です。
平日は発電した電気を使い切れても、電力使用量が少ない土日には発電した電気の一部が余り、自家消費率が100%を下回る場合があります。
土日の余りをどう扱うかは、平日の発電量とのトレードオフになります。平日と土日のどちらを優先すべきかは、最終的にはお客様の事業内容や運用スタイルによって変わる、ケースバイケースの判断になります。
業種ごとの電力の使い方の違いは「業界ごとに異なる電力使用パターン」は、太陽光発電設備の設計にどのように影響するのか?、365日稼働の現場の例は【導入事例】食品製造業の株式会社フレッシュキッチン様が自家消費型太陽光発電を導入をご覧ください。
発電した電気をすべて使い切れる設計と、発電量が少し余っても十分にカバーできる設計の、どちらが良いかを一概に言うのは難しいところです。お客様によって電力の使い方が大きく異なるためです。
たとえば「電力使用に大きなピーク(山)があるお客様」と「比較的均一に電力を使うお客様」では、契約されている電力料金の仕組み(基本料金や従量料金)も違ってきます。そのため、どちらかを選ぶよりも、お客様の電気の使い方や料金体系に合わせた最適な削減方法をご提案することを重視しています。
自社の電力の使い方が自家消費型に向いているかどうかは、法人向け|自家消費型太陽光発電と相性が良い企業の特徴は?もあわせてご覧ください。
設置枚数は、屋根の物理的な制約と電力使用量とのバランスから判断します。
電力使用量が多い場合は、屋根いっぱいに設置しても購入電力量が残ることがあります。
| お客様のタイプ | 効いてくる条件 | 設計上の見え方 |
|---|---|---|
| 工場全体の電力使用量が非常に多い | 屋根の物理的な制約 | 屋根いっぱいに太陽光パネルを設置しても、それだけでは電力をすべて賄いきれない |
| 電力使用量がそれほど多くない | 電力使用量とのバランス | 過剰に設置すると発電した電力を使いきれず、自家消費率が下がって削減メリットが想定より小さくなることがある |
屋根の物理的な制約と電力使用量のどちらが効いてくるかで、枚数を増やすべきか抑えるべきかが逆になります。
「屋根の広さ」と「電力使用量」のバランスを見ながら、最大限のメリットを得られる“ちょうどよい規模感”を見極めることが重要です。屋根側の条件は業種や建物の用途によって、屋根の強度や太陽光パネルの設置スペースに違いはあるのか?もご確認ください。
初回提案からパネルの枚数自体が大きく変わることは、基本的にありません。ただし、現場調査を踏まえて変わる部分もあります。
具体例として挙がるのが、パワーコンディショナ(PCS)の設置場所です。初期段階では「この辺りに設置する想定です」とご提案していたものの、詳細設計や現地確認の段階で、メンテナンス性を考慮して別の位置に変更するケースがあります。
――シミュレーションの数字以外に、枚数の判断で見ているものはありますか?
設計プロセスでは、設計者の“感覚”も重要な要素となります。たとえば、「この会社は365日電気を使っているが、土日は電力使用量が少ない」「冷蔵庫のような常時稼働する機器があるかどうか」などの条件を考慮しながら進めています。
――土日に電気が余るなら、その分パネルを減らせばよいのではないでしょうか。
その「余り」が気になるからといってパネルの枚数を減らしてしまうと、平日の需要をカバーできる発電量(=発電の山)も低くなってしまうのです。結果として、「平日はもっと発電してほしかったのに」ということにもなりかねません。
――現場調査の段階では、どこまで調整が入りますか?
また設置場所が変われば、当然配線の長さやルートも変わり、資材や工事手順に影響が出ます。細かなものも含めてこのような調整は、現場段階でほぼ毎回発生していると言ってもよいかもしれません。
恒電社では、シミュレーションを通じて設備容量と実際の電力使用状況との最適なバランスを見極めながらご提案し、現場段階で生じる配置や部材の調整にも対応しています。
ご提案後に「せっかくならもっとパネルを載せたい」というご要望をいただくことは少なくありません。ただし、パネルを増やしすぎると発電量が電力使用量を上回り、効率が下がる可能性があります。そもそも屋根の面積が足りないという物理的な制約がある場合もあるため、お応えできるかどうかはお客様ごと・プロジェクトごとに異なる判断になります。
自家消費率が50%と低い場合は、「こんなに多くのパネルは不要」という結論になり、通常はパネル枚数を減らして再度シミュレーションを行います。このプロセスを繰り返し、最適なポイントを探します。
本記事で扱っているのは枚数の決め方までです。設備の費用と削減見込みから投資回収年数を試算する考え方は、自家消費型太陽光発電の「投資回収年数」は、どのように試算したら良いのか?で解説しています。
「うちの屋根に載せられるのか」への答えは、屋根の構造・築年数・耐荷重で変わります。設置可否の見立てや構造確認の進め方など、設計段階の疑問からご相談いただけます。