判断の要点
太陽光発電は日射を受けて電気をつくる仕組みのため、日が落ちた後の発電量はゼロになります。夜勤や早朝の立ち上げがある事業所では、この時間帯の電力をどう賄うのかが気になるところです。
発電していない時間帯の電力は、系統(電力会社)からの供給、または蓄電池を導入している場合は蓄電池からの供給で賄われます。自家消費型太陽光発電は既存の系統からの電力と組み合わせて使う設備であり、一日のすべての時間帯を太陽光だけで賄う前提には立っていません。
そのため、夜間の発電がゼロであること自体は設計上の欠陥ではなく、あらかじめ織り込んだうえで設備規模を決めることになります。設備そのものの位置づけは自家消費型太陽光発電の基礎と工場に導入するメリットの解説で紹介しています。
天候不良時の発電量については、「雨が降っているかどうか」よりも、雲の厚さによって発電量が左右されるという表現がより正確です。下がり幅を見るときも、雨の有無よりも、その日にかかっている雲の厚さによる影響が大きいと考えます。
| 天候 | 発電量の目安(晴天時との比較) |
|---|---|
| 曇り | 晴天時の1〜3割程度まで低下することがあります |
| 雨(雲が厚い日) | 晴天時の1〜2割程度まで低下することがあります |
表から読み取れるのは、曇りと雨で下限が大きく変わるわけではなく、雲が厚い日ほど発電量が下がりやすいということです。いずれも雲の状態によって変動するため、あくまで目安として見てください。
なお、雪が積もった場合は雲とは別の要因で発電量が変わります。積雪時の考え方は太陽光パネルに雪が積もった場合の発電量の解説をご覧ください。
気温の上昇によって発電量が低下してしまう場合もあります。ただし、発電量に対しては気温よりも「日射量」=どれだけ日差しがあったかのほうが影響は大きくなります。
そのため、平均気温の推移だけを見て年間の発電量を判断することはできません。設計時の試算では、特に影響の大きい日射量のデータを基礎にします。
将来の天候を完璧に予測することはできません。そのうえで設計時には、天気予報の精度が上がってきていることに加え、過去10年〜20年分の地域ごとの日射量データをもとにシミュレーションを行います。
年ごとのばらつきはあるものの、20年単位など長期で平均を取ると、大きな傾向の変動は見られていません。年ごとのばらつきはあるため、単年の数字ではなく長期のデータを用いて傾向を捉えます。
これとは別に、試算の前提も保守的に置いています。一般的にはパネル1kWあたり年間約1,100kWh発電するとされていますが、恒電社ではあえてそれを下回る年間900kWh台で計算しています。
保守的な前提で試算しているため、実際に設置した後の発電量がシミュレーションを上回る(=お客様にとって良い意味での誤差)ケースが多くなっています。
曇りの日でも一定の発電量を確保したいというニーズに対しては、「過積載」という設計手法を用いることがあります。通常はパワーコンディショナ(PCS)100kWに対して太陽光パネルも100kW(等倍)を設置しますが、過積載では150kWなど、PCS容量を超える枚数のパネルを設置します。
図から読み取れるのは、晴天の日には、発電カーブが横方向に広がり、発電時間が長くなる傾向があるということです。曇りの日も含めると、過積載のメリットは次の2点です。
ただし、過積載にすればするほど良いというわけではありません。パネルを多く載せればその分イニシャルコストも増えるため、費用対効果のバランスを見極める必要があります。
どこまで載せるかはお客様ごとに変わります。恒電社では電力使用状況や屋根の面積、契約電力などを踏まえたシミュレーションを通じて、最適な設計構成をご提案しています。枚数の決まり方は太陽光パネルの設置枚数を決める要件と計算方法で解説しています。
――将来の天候を正確に予測することはできますか?
もちろん将来の天候を完璧に予測することはできません。
――シミュレーションではどのようなデータを使っていますか?
また、当社では過去1年分の日射量データや、20年間の平均値など複数のデータを組み合わせてシミュレーションしています。一つの数値に頼らず、現実的かつ保守的にシミュレーションを行うようにしています。
――使用電力と同じ容量のパネルを設置するのが最適とは限らないのですか?
たとえば、平日の日中に常時300kWの電力を使用しているからといって、必ずしも太陽光パネルを300kW分設置するのが最適とは限りません。
恒電社では、過去の電気使用量や日射量の詳細なデータを分析し、自家消費率や余剰電力量まで丁寧にシミュレーションしたうえで設計しています。発電した電気を無駄なく使い切れるよう、実際の電気使用パターンも反映した設計にしています。
夜間は通常、系統(電力会社)からの供給で賄うため、蓄電池は必須とは限りません。必要性は電力の使用状況や設備の条件などに応じて判断します。蓄電池を導入している場合は、その電力を発電していない時間帯に使うという選択肢が加わります。
過去の電気使用量や日射量の詳細なデータを分析し、実際の電気使用パターンも反映して設計しているため、よほどお客様の事業内容が大きく変わらない限り、シミュレーションと実績に大きな差が出ることはほとんどありません。
「これが絶対の基準です」と言えるような明確な数字はありません。平日と土日の電力使用のパターン、季節ごとの使用量のばらつき、屋根の面積、稼働日、契約電力などを総合的に判断して決めます。
日中に使っている電力量と同じ容量を載せることが最適とは限らず、発電した電気が余るリスクを踏まえ、自家消費率(発電した電気を自社で使い切る割合)を優先して容量を抑えるほうがよいケースもあります。業種ごとの使い方の違いは業界ごとに異なる電力使用パターンと設計への影響で解説しています。
自家消費型太陽光発電の投資回収は、屋根の条件と電気の使い方で会社ごとに大きく変わります。恒電社では、御社の条件での概算シミュレーションから、社内で検討を進めるための材料づくりまでお手伝いしています。