A. 積雪量にもよりますが、おおよそ30cm以上積もると発電が一時的に完全停止する可能性があります。関東地方では自然に溶けることが多く、年間発電量への影響は一般に軽微です。
判断の要点
- 屋根上タイプの太陽光発電設備はパネルがほぼフラット(水平)に設置されることが多く、雪はそのまま屋根の上に積もります。積雪の量にもよりますが、おおよそ30cm以上で発電は一時的に完全停止すると考えられます
- 発電を再開させる方法は、基本的に自然に雪が溶けるのを待つことです。埼玉県の場合、過去10年の気象データを見ても屋根に30cm以上の積雪があった日は非常に少なく、雪が長く残ることもほとんどありません
- 仮に年間365日のうち3日ほど発電できなかったとしても、全体の発電量に与える影響は軽微です。雪の影響を心配して導入を控えるケースはありません
- 北海道や東北などの積雪量が多い地域では、パネルに傾斜をつけて雪を滑り落とす設計や、積雪量に応じた耐雪仕様のソーラーカーポートが選ばれます
雪が積もると発電量はどうなるのか
恒電社が手がける屋根上タイプの太陽光発電設備では、パネルがほぼフラット(水平)な状態で設置されることが多いため、雪が降るとそのまま屋根の上に積もります。パネルに太陽光が届かなくなれば、当然ながら発電は行われません。積雪の量にもよりますが、おおよそ30cm以上積もってしまうと、発電は一時的に完全停止すると考えられます。
パネルを傾けずに水平へ寄せて設置する理由については太陽光パネルを斜めではなく水平に設置する理由で解説しています。自家消費型太陽光発電そのものの仕組みは自家消費型太陽光発電の基礎を解説した記事でも詳しくご紹介しています。
関東地方は自然に溶けるのを待つのが基本
発電の再開は、基本的に自然に雪が溶けるのを待つことになります。
ただし、たとえば埼玉県の場合、過去10年の気象データを見ても、屋根に30cm以上の積雪があった日は非常に少なく、しかも長く雪が残ることはほとんどありません。仮に数日間発電が止まったとしても、年間トータルで見ればその影響はごくわずかです。年間365日のうち3日ほど発電ができなかったとしても、全体の発電量に与える影響は軽微です。
雪解けの速さについても、道端の雪の印象で判断すると実態とずれます。道端に雪が残るのを目にすることはありますが、それは日陰になっているからです。一方で、太陽光パネルは基本的に日当たりの良い場所に設置されているため、想像以上に早いスピードで雪が溶けます。そのため「雪が降ると発電できなくなるのでは」と過度に心配されるお客様は、実際にはあまり多くない印象です。天候そのものによる発電量の変化は天候不良時や夜間の発電量の変化で整理しています。
多雪地域の対策は傾斜設置と耐雪仕様のソーラーカーポート
関東地方ではあまり多くはありませんが、太陽光パネルの設置角度に傾斜をつけて、雪が自然に滑り落ちるようにする設計があります。こうした傾斜を立てた設置方法は、北海道や東北などの積雪量が多い地域でよく採用されています。この設置方法は積雪の影響を軽減し、反射光を利用した発電効率の向上にも寄与します。一方、関東地方ではフラットな設置が一般的で、自然に雪が溶けるのを待つ対応が中心です。
ソーラーカーポートの場合は、製品そのものが積雪量に応じて設計されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 耐雪仕様の例 | 60cm以下の積雪に対応したもの、99cmまで耐えられるもの |
| 選び方 | 地域の積雪状況に応じて製品を選ぶ |
| 耐雪性を高めた場合 | 構造が頑丈になり、アルミ材が厚くなるなど仕様が変わる |
| 価格 | 仕様の違いに応じて差が出てくる |
表のとおり、同じソーラーカーポートでも想定する積雪量によって構造と価格が変わるため、設置地域の積雪状況に合わせた製品選定が前提になります。費用の内訳はソーラーカーポートの導入費用を左右する要因で解説しています。
積雪荷重を受け止める施工のポイントは金具の位置
積雪の観点から関東エリアの施工で特に注意しているのは、屋根の構造と金具の取り付け位置です。金属製の屋根は波形になっており、断面を見ると金具を固定できるポイントが2カ所ある構造です。恒電社では屋根全体のバランスを確認しながら、金具の取り付け位置が均等かつ美しく配置されるよう調整しています。屋根形状ごとの向き不向きは屋根上太陽光発電設備の設置と屋根形状の関係を解説した記事もあわせてご覧ください。
加えて、太陽光モジュールメーカーによっては「金具可能エリア」(金具を取り付けてよい範囲)が指定されていることもあります。たとえば「パネル端から7cm以内」といった明確なガイドラインがあり、これを逸脱すると強度に問題が出たり、中央部がたわんでしまうことがあります。そのため施工時には、構造・強度・美観すべてのバランスを取ったうえで、メーカーの仕様に沿った正確な設置を行っています。
金具の取付位置は、次の順序で確定します。
- 施工前の現場調査の段階で、屋根の折板(波形屋根)の山と山の間隔を測定する
- そのデータをもとに、太陽光パネルのサイズと屋根の形状を合わせた図面を作成し、仮の金具配置を設計段階で決定する
- 施工を開始して屋根上にルーフファン(換気装置)などの障害物があった場合は、全体を20mmほどずらすなど、現場に合わせた微調整を行う
なお、2点固定では十分な耐風・耐雪性能が確保できないと判断した場合は、金具を追加して3点固定にするなど、構造を強化する方向で対応します。
雪・風・雷・地震をまとめて見る全天候の設計
設計では、雪だけを単独で見るのではなく、雪・風・雷・地震といった自然要因すべてに対して、総合的にバランスを取ります。判断の基準は一貫して安全性です。どうしても安全が担保できないような条件であれば、その計画はお客様にご提案しません。恒電社の営業担当も、その前提をしっかり理解したうえでご提案しています。強風時の考え方は太陽光パネルが強風で飛ばされる可能性についての解説で扱っています。
安全性と発電効率を満たしたうえで、恒電社は仕上がりの美しさまで含めて細部を設計・施工しています。屋根の上は普段は直接見えない場所ですが、整然と並んだパネルはお客様にとって「環境配慮の姿勢を表す象徴的な場所」とも言えるためです。外観やデザイン性への影響は太陽光パネルの設置が建物の外観に与える影響で解説しています。
現場担当者の視点(事業部長 折原への取材より)
――それでも雪が残る場合はありませんか?
これまでの経験上、お客様が「雪が積もった」とご連絡された際も、翌日には発電が再開されていることがほとんどです。
――風対策と積雪対策がトレードオフになった場合、どう判断しますか?
風対策と積雪対策が真っ向からトレードオフになるケースはほとんどありません。いずれにせよ私たちは迷わず「安全性」を基準に設計します。
――安全性の基準で、両立が難しいときはどう考えますか?
重要なのは、「どちらかを犠牲にして何かを優先する」ということではなく、すべての条件を満たすためにどのような工夫ができるかを検討し、それが難しいのであれば、そもそもその施工方法で太陽光発電の導入を行うべきかどうかを慎重に判断する姿勢だと思っています。
恒電社では、現場調査で屋根の構造を実測したうえで、耐風・耐雪の条件を満たす金具配置と固定点数を設計し、施工まで一貫して対応しています。条件を満たせない場合は、その施工方法での導入可否そのものを慎重に判断します。
解説者
折原 恭平
インタビュアー
原澤耀
2022年から恒電社のマーケティングも担当し、電気や太陽光発電のことを、各関連分野のエキスパートに直接ヒアリングをしながら、できる限り分かりやすい表現と専門的な視点の両立を重視した情報発信に取り組んでいる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 雪の重みで建物が崩れる心配はありませんか?
前提として、その建物自体が積雪荷重(屋根に積もった雪の重さ)に耐えられる構造であることが必要です。「雪の重みで建物が崩れるのでは?」という懸念は、太陽光パネルを導入する以前の問題となります。建物側の条件は業種や建物の用途による屋根の強度と設置スペースの違いをご確認ください。
Q2. 積もった雪の重みで太陽光パネルが割れることはありますか?
金具の取り付け位置によってはリスクがあります。極端な例として、不適切な波形部分に金具を取り付けてしまうと、積もった雪の荷重でパネルが割れてしまうリスクが高まります。だからこそ、屋根の断面のどこに金具を固定するかを設計段階で決めています。
Q3. 20mm程度の微調整で、積雪への強さは変わるのですか?
金具を固定する位置を数ミリ〜数センチずらしたとしても、それが風圧や積雪荷重に大きく影響するとは限りません。ただし、その「わずかな調整」が見た目や施工精度、将来的な耐久性に関わってくる場合もあるため、細部まで確認しながら設計・施工を進めています。
雷・台風・地震などへの備えは、設置方法と施工品質でほぼ決まります。リスクを設計にどう織り込むか、気になる点からご相談いただけます。
この記事を書いた人
岩見啓明

