判断の要点
太陽光パネルの設置角度や設置場所によって、反射の仕方は変わります。屋根より高い建物が周囲にない場合でも、屋根の向きや勾配、周辺建物との位置関係、東西方向の開け方などは設計段階で確認します。影響を受ける可能性のある建物・施設がある場合は設計段階で配慮し、必要に応じて相手方へ説明するという対応になります。
建物の屋根上に設置する場合は、太陽が東から昇り、南を経て西に沈むという基本的な動きを踏まえて検討します。確認するのは、設置する屋根の周囲に、反射光の影響を受ける可能性のある建物・施設があるかどうかです。屋根より高い建物、とくに北側の高い建物や、東・南・西側の周辺状況を確認します。該当する建物がある場合は、反射光がどの時間帯にどの方向へ向かうかをシミュレーションし、必要であれば事前に調整や対策を行います。
こうした確認は、設備の配置や構成を決める設計の工程に含まれます。設計そのものの中身は太陽光発電の「Engineering(設計)」とは何かの解説で紹介しています。
関東地域(緯度35.7〜36度付近)では、夏至の南中時に太陽が最も高くなり、その高度は約78度です。地形や周辺建物の高低差を考慮しない単純計算で、このとき真南を向くパネルを平面として扱った場合、傾斜が水平に近い状態から30度程度までなら、反射光は上空へ向かい、屋根より低い建物に光が当たる可能性は低くなります。
入射角と反射角が等しいとして同じ条件で計算すると、太陽高度78度のとき、南向きパネルの傾斜がおよそ51度を超えると反射光が水平より下を向きます。太陽高度が変わる季節や時間帯、パネルの向きが違う場合は、結果が変わります。環境省のガイドラインも、日本の日射の状況と一般的な設置形態を踏まえると、多くの時間帯の太陽位置では反射光はそのまま上空に向かうとしています。
パネルを載せたときの見え方が気になる場合は、太陽光パネルの設置による建物の外観・デザイン性への影響もあわせてご確認ください。
北勾配(北向き)の屋根に設置した場合、太陽との位置関係で反射光が建物の下側へ行きやすくなり、トラブルに発展するリスクが高まります。恒電社では、北向きの屋根には原則としてパネルを設置しない方針を徹底しています。
屋根の向きや形状は、設置の可否そのものに関わる条件です。向いていない屋根の考え方は埼玉県の事例から分かる、屋根上太陽光発電に“向いていない”屋根の解説で紹介しています。
屋根より高い建物が隣接する現場では、時間帯によってその建物へ反射光が届くことがあります。この場合は、専用ソフトやシミュレーションを用いて、反射の発生時刻と影響範囲を確認します。
確認した結果をもとに、お客様と相談したうえで、反射光が当たる建物の関係者へ事前に説明し、理解を得るようにしています。
那覇空港内のMRO Japan様の案件では、高さ88mの航空管制塔に反射光が当たらないかを反射光調査で確認したうえで設計しました。この案件は航空業界のMRO Japan様が自家消費型太陽光発電を導入した事例として紹介しています。
反射光への配慮の考え方は、環境省「太陽光発電の環境配慮ガイドライン」(2020年3月)にも整理されています。同ガイドラインの対象は、環境影響評価法等の対象とならない10kW以上の事業用太陽光発電施設で、建築物の屋根・壁面・屋上に設置するものは対象外です。ただし、屋根上などの施設でも、反射光を自主的に検討する際の参考として活用できるとされています。見通せる範囲に「まぶしさ」を懸念する建物・施設等(住宅、学校、病院、高速道路や国道、空港など)があり、さらに次のいずれかに該当する場合が、影響の程度を確認するケースとして挙げられています。
同ガイドラインでは、影響の程度を確認する方法として、販売・施工店等に依頼するなどして反射光のシミュレーションを行うことが示されています。より詳しい検討方法や対策は環境省の資料(PDF)でご確認いただけます。
反射光以外の周辺環境への影響については、太陽光パネルの設置が周辺環境に及ぼす影響の解説で扱っています。
――北向きの屋根にパネルを設置しないのはなぜですか?
北向きに設置した場合、太陽との位置関係で反射光が建物の下側へ行きやすいため、トラブルに発展するリスクが高まります。当社では北向きの屋根には原則としてパネルを設置しない方針を徹底しています。
――屋根より高い建物が近くにあった現場では、どのようなことが起きましたか?
東側に大きなビルがあるケースでは、西日の時間帯にそのビルに反射光が当たることがあります。
――反射光が届くと分かった場合、その後はどう進めるのですか?
その場合、最終的にはお客様と相談の上、反射光が当たる建物の関係者に対して、「何月の何時から何時まで、どのような反射が生じる可能性があるか」を事前に説明し、理解を得るようにしています。
恒電社では、設計段階で周囲の建物の高さと方角を確認し、必要に応じてシミュレーションと関係者への事前説明までを行ったうえで工事を進めています。
恒電社が把握している施工現場では、反射が原因のトラブルは多くありません。ただし、周囲の建物や屋根の条件は案件ごとに異なるため、反射光の影響を確認すべき立地かどうかを個別に判断します。
見送りが前提になるわけではありません。屋根より高い建物がある場合は設計段階で配慮し、必要に応じて相手方に説明を行うという対応になります。那覇空港内の案件のように、航空管制塔への影響を事前に調査したうえで進めた例もあります。
反射が生じると予測される時刻と影響範囲は、専用ソフト等によるシミュレーションで確認できます。環境省のガイドラインでも、影響の程度を確認する方法として、販売・施工店等に依頼するなどして反射光のシミュレーションを行うことが示されています。
反射光への備えは、設計段階で周囲の建物の高さや方角を確認し、必要に応じてシミュレーションで確かめることから始まります。敷地の条件に合わせた検討を、初期段階からご相談いただけます。