【導入事例】和光紙器株式会社様が自家消費型太陽光発電を導入|捨てられる「包装資材」から、循環する「資源」へ。

目次
要約
循環型ものづくり企業|和光紙器株式会社
1962年設立の工業用包装資材メーカー・和光紙器株式会社。自動車部品などの輸送用トレーを製造し、廃プラスチックを回収・再資源化する「完全リサイクル型」の一貫製造体制を構築。価格と環境配慮を両立させ、材料を循環させるサーキュラーエコノミーを実践している。エネルギーも循環へ|自家消費型太陽光発電を導入した理由
材料の循環が実現できた次の段階として、製造エネルギーの脱炭素化を目指し導入。工場電力の一部を太陽光で賄い、CO2削減を推進した。施工会社選定では誠実さやリサイクル対応まで含めた提案力を重視し、信頼できるパートナーとして決断した。社員が誇れる会社へ|今後の展望
リサイクル体制の精度向上とトレーサビリティ強化を進め、「環境配慮型包装資材といえば和光紙器」と言われる存在を目指す。海外展開は各国の文化に合わせ慎重に推進。社員が自慢できる会社であり続けることを経営の軸に挑戦を続ける。
製造業(工業用包装資材)|和光紙器株式会社 様
「包装資材は、主役(製品)を運んだら、最後はゴミになってしまう。だからこそ、それをつくる私たちが責任を持たなければならない。」———そう語るのは、工業用包装資材の製造・販売を手掛ける和光紙器株式会社の代表取締役・本橋志郎氏。
同社は、業界の常識を覆す「完全リサイクルシステム」を構築し、バージン材(未使用・未加工の原材料)と同等の価格で環境配慮型製品を提供することで、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を実践しています。
材料のリサイクルにとどまらず、製造エネルギーの脱炭素化を目指して、全国の拠点で太陽光発電の導入を進める同社。この度の岩槻事業所での自家消費型太陽光発電の導入では、なぜ、数ある施工会社の中から恒電社を選ばれたのか。
その背景には、経営哲学にも通じる「誠実さ」へのこだわりがありました。
主役を支え、環境を守る。「捨てない」包装資材への挑戦。

———本日は貴重なお時間をありがとうございます。まず、御社の事業内容と歴史についてお聞かせいただけますか?
私たちは1962年に設立し、現在は主に「工業用包装資材」を製造・販売をしています。スーパーで見かける食品トレーなどではなく、工場間での部品輸送の際に、自動車部品や精密機器などを包装するものが主力製品です。
創業のルーツは1949年の「本橋商店」にあり、当初は藁(わら)などの梱包材を扱っていたと聞いています。和光紙器株式会社になってからは、今も継続している段ボール加工業を拡大し、現在はプラスチック成形を中心とした事業を展開しています。
現在は埼玉、神奈川(海老名)、三重(鈴鹿)、新潟の国内拠点に加え、上海、香港、ベトナムにも拠点を構え、「環境配慮型包装資材」に特化したモノづくりを行っています。



———「環境配慮型」に舵を切ったきっかけは何だったのでしょうか?
大きな転機となったのは2007年です。当時の先代社長と話していたときに、「私たちの作る包装資材は、あくまで主役を運ぶための脇役であり、役目を終えれば廃棄される運命にある」という事実に改めて向き合いました。
ゴミ問題や環境問題は避けて通れません。そこで「やるからには業界に先駆けて取り組もう」と決意し、川口の工場で、廃棄プラスチックを活用したリサイクル事業に着手しました。
———当時はまだ「SDGs」という言葉も普及していない時代です。苦労も多かったのではないでしょうか?
正直、苦難の連続でした。2009年に三重県の鈴鹿工場に一貫製造ラインを作り、100%リサイクル資源(LDPE)で輸送トレーを作り始めましたが、2014年頃までは全く軌道に乗りませんでした。
最大の壁は「色」と「価格」です。リサイクル材を使うと、どうしても色が混ざって黒っぽくなったり、緑がかったりなど、ロットごとに色ブレが発生します。お客様からは「色を統一してほしい」と言われたこともありましたが、それでは着色コストがかかり、リサイクル材の環境的メリットも薄れてしまう。
さらに、リサイクル工程には回収・洗浄・粉砕などの手間がかかるため、通常品よりも価格が高くなってしまいます。「環境に良いのは分かるが、コストが上がるなら採用できない」。これが多くのお客様の本音でした。
普及しなかったら、いくら良いものを作ってもしょうがない——そこで私たちは「一般商品と同じ価格でなければ、商品にしない」と決断しました。
製造プロセスそのものを変えてコストを下げよう、と決めたのです。

徹底した「一貫製造」で実現した、価格と環境の両立
———価格を据え置くために、どのような改革を行われたのですか?
「一貫製造体制」の構築です。
通常、包装資材業界では、材料(ペレット)メーカー、シートメーカー、金型メーカー、成形メーカーが分業しており、それぞれの輸送費やマージンがコストに上乗せされます。そこで、私たちは以下をすべて自社で行うことにしました。
- ペレットからシートを作る。
- シートからトレーを成形する。
- トレーを成形するための金型も自社で作る。
- 回収したトレーを粉砕し、再び材料(ペレット)を作る。
これらを一つの工場内で完結させることで、輸送コストと中間マージンを徹底的に削減しました。また、製造工程で出る端材もすべてリサイクルに回すことで、廃棄ロスもほぼゼロにしました。
現在、Polyecolene(ポリエコレン)シリーズとなってからは「環境に優しく、かつ価格も一般品と同等」という商品を実現できるようになりました。

———技術的にも難しい挑戦だったと思いますが、どのように乗り越えられたのですか?
トライアンドエラーの繰り返しです。最初は失敗ばかりでしたよ(笑)。
たとえば、プラスチックと一口に言っても、材質によって「流動性」が全く異なります。例えるなら血液型のようなもので、違うタイプの樹脂を混ぜて成形機に入れると、ドロドロに溶けて機械から溢れ出してしまう事故も経験しました。
また、当初はコストを抑えるために安価な海外製のアナログ機械を使っていました。温度設定などをすべて手動で行う必要がありましたが、逆にその経験があったからこそ、「樹脂の特性」を体感として深く理解できました。
現在は日本製の最新自動機に入れ替えていますが、アナログ時代に培ったノウハウがあるからこそ、高品質なリサイクル製品を安定して供給できています。今では、お客様の“使用済みトレーを有価物として買い取り、再び製品に戻す”という、完全なサーキュラーエコノミー(循環型経済)の輪を作り上げています。
コロナ禍を「誇り」に変えた、社員との絆
———素晴らしい取り組みですね。2020年のコロナ禍では、製造業全体が大きな影響を受けましたが、御社はいかがでしたか?
2020年4月、緊急事態宣言でお客様の工場が止まり、私たちの仕事も一気に減りました。私が社長に就任して約1年後のことでした。
個人としてもいろんな葛藤を経て、会社を継ぐことを決断し、ミッション・ビジョン・バリューも刷新した中での事態に落ち込みました。しかし、悲観していても仕方がない。「今できることをやろう」と社員一丸となって取り組んだのが、フェイスシールドの製造です。
当時不足していたフェイスシールドを、自社製品を買ってもらうためではなく、「100円ショップで買える材料で誰でも作れる」ように設計し、そのノウハウを公開しました。また、自治体や学校へ寄贈も行いました。その後、需要の高まるパーテーションの製造もするようになりました。
これらの製品は当社の利益にはなりませんが、ありがたいことに様々な賞をいただいたり、メディアにも取り上げていただいたりして、社員の意識やモチベーションに大きな変化をもたらしました。
工業用包装資材は、普段一般の方の目に触れることはありません。しかし、フェイスシールドやその後のメディア掲載を通じて、社員が自分の家族に「お父さん・お母さんの会社はこういうことをしているんだよ」と胸を張って言えるようになったのです。
コロナ禍というピンチをチャンスに変え、社員が自社に誇りを持つきっかけになったことは、私にとって非常に大きな財産です。
SDGsは「会社のアピール」ではない。「人としての成長」を促す人材育成
———新たな取り組みを推進していくなかで、社内から反発が起こるのも世の中では少なくないと思います。御社の場合、皆さんで一致団結して取り組めた理由はどこにあったのでしょうか?
私たちは日頃から、SDGsやCSR活動を「社員教育」や「人間としての成長」の場として捉えています。
世間では、SDGsやCSRというと、「企業ブランディング」や「対外的なアピール」のために取り組むケースも少なくありません。しかし、私はそういった目的だけでやるなら、やらない方がマシだと考えています。
なぜなら、勉強会や活動には、従業員の「大切な業務時間」を使うからです。1時間でも2時間でも、会社の活動として時間を拘束する以上、そこには必ず参加した本人にとっての「進歩」や「成長」がなければなりません。
単に会社が「うちは良いことをやっています」と言いたいがために、社員の貴重な人生の一部を使わせるわけにはいかないのです。そこで私たちは、SDGsを「自分事化」し、一人の人間として成長するためのツールとして再定義しました。
「部長」や「課長」である前に、「一人の人間」として何ができるか
———具体的にはどのようなプログラムを行っているのですか?
まず徹底しているのは、「役職や仕事の役割を一旦置いて、一人の人間として何ができるか」を考えることです。いきなり「会社のCO2を削減しよう」と言われても、自分事として捉えるのは難しいですよね。ですから、最初はもっと身近で、小さなことから始めます。
毎年、年始に全社員が「今年、私は一人の人間として“これ”に取り組みます」という宣言を行います。例えば、「ゴミを拾う」「電気をこまめに消す」「家族に感謝を伝える」といった、本当に初歩的なことで構いません。まずは「個(1人)」でできることを確実に実行する。
それができたら、次は拠点単位(10人〜30人)で何ができるかを話し合う。そうやって個人の小さな行動の輪が重なり合い、最終的に企業全体(80人規模)の大きなうねりになっていくのです。
———なるほど。個人の道徳や行動指針からスタートして、それを組織の力に変えていくわけですね。
そうです。年末にはその成果を発表する「成果発表会」を行い、優れた取り組みを表彰する授賞式も開催しています。最初は「何をすれば良いの?」「とりあえず掃除でもしようか」といった手探りの状態でした。しかし、回を重ねるごとに社員の意識が変わってきました。


「自分たちの工場で出るこの廃材、もっと別の使い道がないかな?」「地域のためにこういう活動をしてみよう」と、自発的なアイデアが出るようになってきたのです。このプロセスを経ることで、SDGsが単なるお題目ではなく、自分たちの仕事や生活の一部として定着していきました。
———そうした地道な「人づくり」が、先ほどのコロナ禍での迅速な対応や、一貫製造体制の構築にも繋がっているのですね。
間違いありません。どんなに立派な設備やシステムを導入しても、それを動かすのは「人」です。
特にリサイクル事業は、現場のモラルやルール順守の精神がなければ成立しません。「誰も見ていないから良いや」と異物を混ぜてしまえば、全てが台無しになるからです。
「1人の人間として正しい行いをする」。この当たり前のことを、勉強会を通じて愚直に積み重ねてきたからこそ、困難な状況でも一致団結し、正しい判断ができる組織になれたのだと確信しています。
これからも、会社の利益のためだけでなく、社員一人ひとりの人生が豊かになるような、そんな「学びの場」を提供し続けていきたいですね。

太陽光発電の導入:材料だけでなく、エネルギーも「循環」させる
———では、今回の太陽光発電の導入に至った経緯を教えてください。
はい。答えとしては簡単で、「材料」のサーキュラーエコノミーが完成できたので、次は「エネルギー」だと考えました。
一貫製造体制でコストと資源の無駄を徹底的に省き、廃棄プラスチックを循環させる仕組みは完成した——しかし、その製造プロセスで使う電力が、CO2を大量に排出するものであっては、真の意味で「環境に配慮した」とは言えません。
「やるなら徹底的にやる」。その想いから、まずは三重県の鈴鹿工場で電力契約をCO2フリー電気に切り替え、工場の電力の約25〜30%を賄う太陽光発電設備を導入しました。
今回、岩槻事業所への導入を決めたのもその流れです。当初の計画では2030年頃を目標にしていましたが、金型を作るマシニングセンタや材料製造設備などの投資が予想より早く完了したため、「今やるべきだ」と判断し、計画を大幅に前倒しして導入に踏み切りました。

———多くの業者がいる中で、なぜ恒電社を選んでいただけたのでしょうか?
決め手となったのは、スペックや価格以上に「誠実さ」と「嘘をつかない提案」でした。
選定には約1年かけました。太陽光業界には、「絶対に儲かります」「何でもできます」とメリットばかりを強調して、リスクを隠す業者も少なくないからです。
しかし、商談を重ね、具体的な技術協議が進むに連れ、恒電社さんは信頼できると感じられるようになりました。
———どのような点で信頼を感じていただけたのでしょうか?
「できないことは、できないとはっきり言う」点です。多くの営業マンは仕事欲しさに、不確定なことでも「調整すれば何とかなります」と言ってしまいがちです。しかし、恒電社さんは違いました。
「その方法だと御社の屋根の形状ではリスクがあります。ですから、それは『できません』。ですが、代わりにこういった工法なら実現可能です」のように、できない理由を明確にし、必ず代替案を持ってきてくれました。
「契約を取るための甘い言葉」ではなく、「私たちのための最適な解」を真剣に考えてくれている。この「駆け引きのない姿勢」が、私たちが大切にしている価値観と非常に相性が良いと感じました。
———ありがたいお言葉です。
また、当社は環境に取り組む企業です。ですのでお話を聞いた太陽光発電の業者さんには必ず、「使い終わったパネルの処分方法」について質問しました。
今、良いエネルギーを作れても、20年後、30年後にそのパネルが産業廃棄物として埋め立てられるなら、それは将来の世代にツケを回すことになります。
「御社では使用済みパネルをどうされますか?」 この問いに対して、営業の折原さんはパネルのリサイクルルートや廃棄時の対応について、明確なビジョンと回答を持っていました。
メーカー任せにするのではなく、施工会社としてそこまで考えている。これが最終的な安心材料となりました。
関連記事
———実際に導入されてみて、効果や感想はいかがですか?
施工チームの方々も非常に丁寧で、最後まで気持ち良く仕事ができました。電気だけで無く、建築や設備関係でこれまで何社もお付き合いがありますが、中でもトップレベルで、一人ひとりが丁寧にご対応してくれました。
導入効果としては、シミュレーション通りの発電が得られており、工場の使用電力の一部をしっかりと賄えています。何より、「エネルギーまで含めて環境配慮を行っている」という事実が、対外的なブランディングや社員の意識向上にも繋がっています。
関東圏で今後何かあれば、また恒電社さんにお願いしたい。そう思えるパートナーに出会えたと感じています。

今後の展望:社員が「自慢できる会社」であり続けるために
———御社の今後の展望をお聞かせください。
まずは、現在構築したサーキュラーエコノミーの精度をさらに高めていくことです。
トレーサビリティ(追跡可能性)を徹底し、「いつ、どこで、どの材料が使われたか」を明確にすることで、お客様により安心してリサイクル材を使っていただける体制を強化します。
また、商品開発も絶えず行っていきます。今の技術も5年後、10年後、20年後には古くなるはずです。とにかく「環境に配慮した包装資材といえば和光紙器」と言われるように、常に新しい技術をテストし、生み出していくことを目標にしています。
———御社は、上海、香港、ベトナムなど海外に拠点もお持ちだと思います。海外展開についても拡大していかれるのでしょうか?
海外展開については、現地の文化に合わせた慎重なアプローチを続けていきます。
大前提として、私たちのリサイクルシステムが機能するのは、「ゴミの分別ルールを守る」という日本の素晴らしい文化・モラルがあるからです。単に日本のシステムを輸出するのではなく、その土地の文化や特性に合った環境配慮の形を模索していきたいと考えています。
———最後に、経営者として、最も大切にされていることは何でしょうか?
「従業員が自慢できる会社にする」こと。これに尽きます。
環境への取り組みも、太陽光発電の導入も、すべてはそこに繋がっています。「うちの会社は、環境のためにここまでやっているんだ」と社員が誇りを持てる。そんな会社であり続けるために、これからも変化を恐れず、新しいことに挑戦し続けていきます。

———本日は、本当にありがとうございました。
インタビュアー
撮影・編集・執筆



