国民民主党の玉木雄一郎代表は2024年11月27日、石破茂首相に次期エネルギー基本計画への原発新増設の盛り込みを求める要望書を提出するなど、国のエネルギー政策が大きな転換点を迎えています。
玉木氏は「再生可能エネルギーか原子力かという二項対立ではなく、安定的な電源の多角的強化が重要だ」と訴え、政府もこれに一定の理解を示しました。このような与野党を超えた協調姿勢は、エネルギー政策を巡る議論を加速させる可能性を秘めています。
こうした国の方針を背景に、東京電力は柏崎刈羽原子力発電所6号機の再稼働を進め、2025年6月の核燃料装荷を経て2026年1月に原子炉を起動、同年4月に営業運転を再開しました(福島第一原発事故後、東京電力として初の原発再稼働)。一方、7号機はテロ対策施設(特定重大事故等対処施設)の工事完了時期が2029年8月に延期されており、同施設が完成するまでは再稼働できない状況です(2026年9月時点)。
地元同意の手続きも進みました。新潟県の花角英世知事は2025年11月21日に柏崎刈羽6号機の再稼働を容認する考えを示し、同年12月23日には経済産業大臣へ6・7号機の再稼働への同意を伝えました。
柏崎刈羽原発を始めとする、国内の原子力発電所の再稼働を巡る問題は、今後の日本のエネルギー政策全体を占う重要なテーマです。
本稿では、原子力発電の歴史、現状の課題、そして未来への影響を多角的に検証するとともに、再稼働による電気料金引き下げ効果や、エネルギー問題を考える上での重要な視点を考察します。
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原発再稼働による電気料金の影響は限定的:東京電力が2023年5月に公表した資料では、柏崎刈羽原発の再稼働を料金算定に織り込むことで、規制部門の値上げ幅を0.4円/kWh程度圧縮する効果があるとされました。少なくとも東京電力の2023年の規制料金の算定では、再稼働による効果は値上げ幅の圧縮にとどまり、電気料金の大幅な低下は見込まれていませんでした。原子力には、福島事故以降の追加投資などコストの上振れ要因があります。6号機が原子炉を起動して首都圏への送電を始めた2026年2月時点で、東京電力は「算定料金には再稼働の影響をすでに織り込んでおり、再稼働しても変わらない」と説明していました(東京新聞 2026年2月17日)。少なくとも、この料金算定で織り込まれた効果については、実際の再稼働時に追加の値下げが生じるものではありません。
原子力発電の歴史と背景:1955年に制定された原子力基本法を契機に、日本の原子力発電は高度経済成長期の電力不足を補うべく推進されました。その後、1973年のオイルショックを契機に政策が本格化し、温室効果ガス削減やクリーンエネルギーの需要増加といった背景から、原子力の役割が高まりました。
原子力発電のコストと課題:資源エネルギー庁が2015年に試算した2030年モデルプラントの原子力発電コストは10.1円/kWh以上でした。2025年2月のとりまとめでは、2040年モデルプラントで12.5円/kWh以上(設備利用率70%・運転期間40年の前提)と試算され、同じ試算の事業用太陽光7.0〜8.9円/kWhを上回っています。安全対策や廃炉などの費用には上振れ要因があり、将来の発電コストには不確実性があります。次世代型原子炉についても、実用化時期や経済性を現時点で確定的に評価することはできません。
実際にいくら削減できたのか、具体的な数字はこちら:【電気代削減額の事例】法人向け自家消費型太陽光発電で、いくらコストカットできる?
※本稿はこちらの動画を記事化した内容となります。
※収録(2023年5月22日)時点と現在の状況は異なる可能性がございます。
―――早速ですが、「原発再稼働で電気代はいくら下がるのか」結論からお伺いできますか。
正式な数字は関東エリアしか公表されていませんが、東京電力の直近のデータによると、原子力が再稼働した場合、電力量料金が0.4円下がるとのことです。
※編集部注(2026年9月):ここでいう0.4円/kWhは、東京電力の2023年5月資料における「規制部門の値上げ幅を圧縮する効果」です。再稼働に伴い電気料金が0.4円/kWh値下がりするという意味ではありません。詳しくは、後段の追記をご覧ください。
―――なるほど。これは、ほぼ下がったと言えないレベルですね。
下がってはいますが、「大きく」という表現は適切ではないかもしれません。
世間では、原発が再稼働すれば電気料金が大幅に下がるとイメージする人が多いようですが、実際にはそうではありません。これが残念なことですが、現実の結論です。
―――ありがとうございます。それでは、その根拠となる部分や、原子力発電自体について詳しく聞かせてください。
―――では結論の背景として、原子力の歴史について狩野さんに伺いたいと思います。
原子力の歴史は意外と古く、東京タワーよりも古いのです。
収録時点(2023年)から68年前の1955年に、そもそも原子力基本法が制定されました。
原子力基本法
1955年に制定された日本の原子力政策の基本方針を定めた法律。原子力の研究・開発・利用を推進し、将来のエネルギー資源を確保することなどを目的とする。
なぜこのような法律が作られたのかというと、当時の日本では電力が全く足りていなかったからです。戦後の高度成長期に向けて、より多くの電力が必要だという状況の中、新たな電源の確保を目的に原子力基本法が作られたのです。
―――原子力発電所が稼働する前に、構想として1955年に形になったのですね。
そうなんです。当時はまだ影も形もありませんでしたが、法律だけが先行して制定されたのです。
その後、アメリカなどの原子力発電を参考にしながら、日本も独自の課題に直面していきました。
―――具体的にはどのような課題に直面しましたか?
工業化が進むにつれて、大気汚染が深刻化しました。
車社会の到来により大気汚染が進み、水質汚染やそれに伴う公害病も多発するようになりました。こうした背景から、少しでも安定した電源であり、クリーンな電源として原子力への期待が高まったのだと思います。
―――まさに夢のエネルギーといったところですね。
どれだけ電気を作っても温室効果ガスを排出せず、大気を汚さない。こういった特徴に注目が集まったのです。
―――なるほど。1955年に構想が生まれましたが、具体的に実稼働や本格的に稼働に向けて動き始めたタイミングは?
それはやはり、1973年のオイルショックが一番大きな契機でしょうね。
あれはまさに世界的なショックで、日本も例外ではありませんでした。当時、日本は化石燃料への依存率が9割以上に達しており、この状況を何とかしなければならないという強い危機感がありました。
そこで、1973年のオイルショックを受け、翌1974年に「電源三法」が制定され、本格的に原子力へ舵を切ることになったのです。
電源三法
1974年に制定された「電源開発促進税法」「電源開発促進対策特別会計法」「発電用施設周辺地域整備法」の総称。
その後、政策がどんどん進められ、現在では全国で17ヶ所において、正式には59基(「もんじゅ」と「ふげん」を除けば57基)の原子力発電所が整備されました。
※追記(2026年9月更新):ここでの「59基(57基)」は1955年の原子力基本法制定以降の累計整備基数であり、現存する基数ではありません。原子力規制委員会の公表(2026年9月16日更新)によれば、運転中は11基、停止中は22基の計33基で、このほか20基(「もんじゅ」「ふげん」を含む)が廃止措置中です。最新の運転状況は原子力規制委員会の公式サイトでご確認ください。
このような流れで原子力が推進されていったのです。
―――具体的に、オイルショックが原子力推進の非常に大きなきっかけだったということですね?
それはもう間違いありませんね。
―――先ほど結論をお話しいただきましたが、原子力発電の単価が高いのか安いのか、とても気になるところです。具体的に、まず原子力の発電単価はどのくらいなのでしょうか?
ズバリ申し上げると、現在の東京電力管内における原価は10.1円です。
※編集部注(2026年9月):10.1円/kWh以上は、資源エネルギー庁が2015年に試算した2030年モデルプラントの発電コストで、東京電力管内の現在の実績原価ではありません。詳しくは、末尾の追記③をご覧ください。
―――10.1円。この金額は他の電源と比較するとどうなのでしょうか?
微妙なところですね。
現在、石油・石炭・ガスの価格が上昇しており、卸取引市場では15円から20円の範囲を行き来しています。それと比べれば確かに安いと言えるかもしれません。
しかし、日常的な電力取引のトータル的な価格が7〜8円と考えると、決して安いとは言えないでしょう。
―――そうですよね。ということは、原子力が10.1円で発電できるとしても、先ほどの結論と同じで…
飛び抜けて安い電源とは言い難い状況だと思います。
―――この10.1円が今後安くなる可能性、あるいは逆に高くなる可能性について、原子力発電単体で見たときの価格の方向性と、それに影響を与える要素について教えていただけますか?
まず、原子力を語る上で、あるいは日本のエネルギー政策を語る上で切り離せないのが「3E+S」という考え方です。
この3つの「E」に加えて、最も重要なのが「Safety」つまり安全性です。
特に、この安全性を語る上では、福島第一原子力発電所の事故を決して忘れてはならないというのが前提にあります。
原子力の原価についても、以前は低く見積もられていた部分がありました。しかし、福島の事故を契機に、安全性のコストを含めた原価について真剣に議論されるようになったのは、比較的最近のことです。
―――福島原発の事故をきっかけに、「S」=セーフティの重要性が日本においてさらに高まったということですね。
そうですね。ですから、原子力発電においても、対テロ対策などさまざまな安全性を確保するため、どうしても建設コストが高くなる面があります。
また、廃炉にかかる費用についても、一つの原子炉を廃炉にするのに約300億円と言われていたのが、福島の事故で最初に出てきた金額が2兆円。これだけでも驚きますよね。
その後、実際にはいくらかというと、廃炉に8兆円。4倍です。
さらにご存知の通り、福島への賠償金が8兆円。そして、汚染土や汚染水の中間貯蔵に約6兆円かかるので、当初2兆円と言われたものが現在では22兆円になっています。
※追記(2026年9月更新):「22兆円」は講演者の概数で、収録時点の政府の試算は約21.5兆円(2016年12月公表)でした。政府はその後、2023年12月に廃炉・賠償・除染・中間貯蔵費用の総額を約23.4兆円に上方修正しています。デブリの取り出しが完了しておらず、費用総額にはなお不確実性があります。
―――もう10倍ですね。
はい。ただ、デブリがすべて取り出せているわけでもないので、この費用以上にかからないとは言えず、まだ未知数なんです。
燃料デブリ
2011年3月の事故当時、1号機から3号機は運転中で、原子炉内に燃料がありました。地震直後に原子炉は自動停止したものの、停止後も膨大な熱を発生する燃料を冷やすための設備および電源が津波によって失われたため、燃料が過熱し原子炉内の構造物と燃料が溶けました。その溶けた燃料等が冷えて固まったものを燃料デブリと言います。現在は、燃料デブリがある格納容器内の状態を遠隔ロボットによって確認し、燃料デブリを取り出すために様々な調査および検討を進めています。引用:東京電力ホールディングス|もっと知りたい廃炉のこと 「燃料デブリ」とは?
―――そう考えると、現在の原発の運用コストや再稼働による電気代の議論というのは、福島原発事故が起きる前の話だったということですね。
事故以前は、原子力発電は安い電源とされていました。
―――なるほど。ただ、事故後は安全性の重要性が高まり…
追加投資が次々と必要になる状況になったわけですね。
―――となると、結果的に原子力発電の発電コストが高いのか安いのか、一概には言えないということですか?
その通りです。例えば、建設コストも大幅に上昇しました。
運転維持費自体はそれほど変わりませんが、一番大きな影響を与えたのは社会保障費の上積みでしょうね。
※編集部注(2026年9月):ここでの「社会保障費」が具体的にどの費用を指すかは、収録内容から確認できていません。
福島第一原子力発電所の事故と同様の事態に備える費用として、9.1兆円が想定されています。この9.1兆円も原価に含めるべきだという議論があります。
※追記(2026年7月):「9.1兆円」について、本更新時点では一次情報の出典を特定できていません。数値の当否を判断できないため発言はそのまま掲載していますが、目安としてご参照ください。
さらに、原子力発電の稼働年数は当初40年から60年を見込んでいましたが、これが35年や40年で終了してしまえば、10.1円という単価は維持できなくなります。また、設備の利用率が60%から80%を想定していますが、利用率が下がれば当然コストは上昇します。
そして万が一、第二の福島のような事故が起きてしまえば、コストは青天井になる可能性があります。
―――社会保障的なコストが高まる中で、国の方針として原子力発電を推進し、再稼働を進める動きが見られますが、そもそもなぜ再びその方向に舵を切っているのでしょうか?
単純に言えば、今あるアセット(資産)は活用した方が良いからです。
すべてを廃止して1から新しいものを作るというのは非現実的ですし、乱暴な議論と言えるでしょう。
また、温室効果ガスを削減するためには、原子力発電が効果的な電源の一つであることは間違いありません。現在ある原発を稼働させることに問題がなく、規制委員会の認可を得られるのであれば、再稼働することには合理性があると考えます。
―――なるほど。それで言うと、原子力発電の設備利用率に関する話もありましたが…
一番のポイントは、狭い敷地内で大量の電力を生み出せるという点です。
よく言われる例として、600km²の面積で原発は100万kWを発電できますが、同じ発電量を太陽光で賄おうとすると山手線1周分の面積が必要になり、風力では山手線3.5周分が必要です。
※追記(2026年9月):資源エネルギー庁の整理では、100万kWの原発が1年間に発電する電力量と同じだけを得るのに必要な敷地は、原子力が約0.6km²、太陽光が約58km²(山手線の内側いっぱいの広さ)、風力が約214km²(山手線の3.4倍)です。上の発言の「600km²」は、0.6km²の言い違いとみられます(資源エネルギー庁「原発のコストを考える」)。
―――設備の大きさあたりで生み出す電力が非常に大きい、ということですね。
また、石炭についても同様です。石炭で100万kWを発電しようとすると、タンカー11隻分の燃料が必要ですが、ウランなら10tトラック2台分で済みます。
こうした資源効率を考えると、原子力発電は現実的な選択肢と言えます。現状の電源で、温室効果ガスが少なく、化石燃料と比較してメリットがある点からも、国が推進する理由が説明できるでしょう。
―――今よく耳にする「次世代型の原子力発電」というキーワードですが、この発電所が稼働すればコストが下がる可能性があるのか、時系列的な問題も含めてどうお考えでしょうか?
実際のところ、次世代型は「次世代」そのものなんです。
試してみなければ分からない部分が多く、革新軽水炉や高速ガス炉、高速炉など、さまざまな技術が世界で10年ほどかけて研究・開発されています。しかし、それが実際に稼働し、経済的合理性を持つ段階に至るのがいつなのかは、あくまでも次の世代の話と言えます。
原子力が東京タワー誕生以前から構想を練り、現在に至るまで長い年月を要したように、次世代型の原子力発電も10年、20年、あるいは25年後を見据えた技術です。
これは結局、2050年のカーボンニュートラル達成を目指すための次の電源として位置づけられるものだと思います。
収録時点(2023年5月)から2026年9月の本記事更新までに、原発を巡る状況は大きく動きました。3点にまとめてお伝えします。
①柏崎刈羽原発6号機が実際に再稼働、7号機はテロ対策施設の完成待ち
東京電力・柏崎刈羽原子力発電所6号機は2025年6月に核燃料装荷を完了し、2026年1月に原子炉を起動、同年4月に営業運転を再開しました。福島第一原発事故後、東京電力として初めての原発再稼働です。一方、7号機は、テロ対策施設(特定重大事故等対処施設)の工事完了時期が2029年8月に延期されており、同施設が完成するまでは再稼働できない状況で、再稼働時期は見通せません。地元合意については、新潟県の花角英世知事が2025年11月21日に6号機の再稼働を容認する考えを示し、同年12月23日には経済産業大臣へ6・7号機の再稼働への同意を伝えました。
なお、東京電力は、6号機が送電を始めた2026年2月時点で「算定料金には再稼働の影響をすでに織り込んでおり、再稼働しても変わらない」と説明していました。そのため、6号機の営業運転再開に伴って、本文でご紹介した0.4円/kWh程度の圧縮効果が改めて値下げとして上乗せされるものではありません。この効果は2023年度以降の料金算定にすでに織り込まれていました。
②第7次エネルギー基本計画で「原発依存度低減」の文言が削除
2025年2月18日に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、従来の「可能な限り原発依存度を低減する」との記載が削除され、「原子力を最大限活用していくことが極めて重要」との方針に転換しました。2040年度の電源構成目標は、再生可能エネルギー4〜5割程度(初めて最大の電源に)、原子力2割程度、火力3〜4割程度とされています。背景には、AI・データセンターの普及等による電力需要増加の見通しがあります。電源構成における原子力の位置づけは、電力会社の電源構成比と電気料金への影響を解説した記事もあわせてご覧ください。
③原子力の発電コスト試算
本文の「10.1円/kWh」は、資源エネルギー庁が2015年に試算した2030年モデルプラントの値(10.1円/kWh以上)です。2025年2月公表のとりまとめ(第7次エネルギー基本計画の基礎資料)では、2040年モデルプラントの原子力発電コストを12.5円/kWh以上(設備利用率70%・運転期間40年前提)と試算しています。前提が異なるため単純な比較はできませんが、公表されたモデルプラント試算の下限値だけを見れば、10.1円から12.5円へ上がっています。同じ2040年モデルプラントの試算では、事業用太陽光が7.0〜8.9円/kWhで、原子力を下回っています。
原子力発電所の運転状況は、原子力規制委員会の公式サイトで随時更新されています。
―――今まで過去、現在、未来についてお話を伺ってきましたが、最後に、この動画の結論として、東京電力が原子力発電の再稼働を見込んだ際に「これくらい電気料金が下がるポテンシャルがあります」と発表していた点について教えていただけますか?
経済産業省からも厳しい指摘を受けたと思いますが、今回、各電力会社が化石燃料の値上がりにより経営的な打撃を受け、値上げを求めている状況があります。
ただし、値上げができない部分があり、それが規制料金、つまり一般家庭が利用する電力量料金のメニューに該当します。規制料金を変更するためには国の審査が必要で、その審査に基づき、原子力が動いた場合にどれくらい電気料金が下がるかという試算が発表されました。
具体的には、東京電力が今年1月23日にプレリリースを行い、その中で柏崎刈羽原子力発電所について触れています。
7号機が今年10月に再稼働予定、さらに2025年4月に6号機が再稼働すると仮定した試算では、総原価にして年間3,900億円の効果を見込んでいます。これにより、家庭の電気料金が2.1円下がるとされています。
ただ、電気料金を10円以上値上げする状況の中で、2.1円の値下げは効果的とは言い難いでしょう。確かに値下げにはなっていますが、十分な効果があるかというと疑問が残ります。
1月の時点では、「2円でも下がればいいのか」と思われたかもしれませんが、5月19日のプレリリースの内容には、少しショックを受けました。
今回はさらに詳細に検討した結果、同じく7号機と6号機が稼働すると仮定しても、年間3,900億円の削減効果が900億円に減少してしまいました。
これにより、電気料金は0.4円しか下がらないことになります。何もしないよりは良いかもしれませんが、その程度の効果しか期待できないということです。この点については、リリースでも明らかにされています。
※追記(2026年9月):上記の「0.4円下がる」「0.4円しか下がらない」といった発言について補足します。上記発言にある「5月19日」ではなく、東京電力の公表日は2023年5月16日です。同資料には、再稼働を料金算定に織り込むことで、総原価にして年間で900億円程度、規制部門の値上げ幅を0.4円/kWh程度圧縮する効果がある、と書かれています。再稼働時期は具体的に示せず、あくまで料金算定上の織り込みであるとも明記されています。「値上げ幅の圧縮」を意味しており、再稼働のたびに料金が0.4円下がるという意味ではありません。
―――最近のニュースでは、7号機が10月に稼働するかどうかも不透明との意見があります。仮に順調に進んだとしても、電気料金が0.4円下がる可能性があるということですね。しかし、電気料金が10円以上値上げされている現状を考えると、この値下げが大きな影響を及ぼすとは言い難いでしょう。
確かに、効果的な値下げとは言いづらいですね。
比較対象として適切かは分かりませんが、太陽光発電のFIT(固定価格買取制度)の買取価格は9.5円です。これを考慮すると、再生可能エネルギーとほぼ同等のコストになっていると言えるかもしれません。
※追記(2026年9月):FIT(固定価格買取制度)の買取価格と、モデルプラント方式による発電コストは異なる指標であり、単純には比較できません。なお、発言にある9.5円の対象年度・電源区分は確認できていません。2025年2月のとりまとめによる2040年モデルプラントの試算は、事業用太陽光が7.0〜8.9円/kWh、原子力が12.5円/kWh以上です。
―――昔の歴史的背景から、現状の状況までお話を伺い、私自身も非常によく理解できました。
あくまでも、原子力の良いところは、安定した電源を供給できる点であることは間違いありません。
ただ、極端に安い電力を作れるかというと、難しい側面が多いのも事実だと思います。
―――狩野さん、本日もありがとうございました。
実際にいくら削減できたのか、具体的な数字はこちら:【電気代削減額の事例】法人向け自家消費型太陽光発電で、いくらコストカットできる?
電気代の削減余地は、いまの契約単価と電気の使い方で会社ごとに異なります。自家消費型太陽光発電や省エネで購入電力量をどこまで減らせるか、御社の条件での検討からご相談いただけます。