太陽光FAQ

逆潮流とは?太陽光発電での仕組みと費用をわかりやすく解説

作成者: 岩見啓明|Jul 3, 2026 11:11:16 AM

A. 家庭や工場などの設備から電力会社の送電線へ電気が流れ出す現象です。

通常は電力会社から家や会社へ電気が「入って」きますが、太陽光発電で余剰電力が生じると、その電気が逆方向に「出て」いくため「逆潮流」と呼ばれます。

「逆潮流」とは?

———「逆潮流」とは、そもそも何なのか、教えていただけますか?

逆潮流とは、家庭や工場などの設備から電力会社の送電線へ電気が流れ出す現象を指します。通常は電力会社から家や会社へ電気が「入って」きますが、太陽光発電で余剰電力が生じると、その電気が逆方向に「出て」いくため「逆潮流」と呼ばれます。

逆潮流が発生しても、電力会社の送電網に影響はないのか

———逆潮流が発生しても、電力会社の送電網に影響はないのでしょうか?

逆潮流そのものは、余剰売電契約を結んでいる設備では電力会社側も想定済み(事前の系統接続検討と工事費負担金によって設備強化が行われる*)なため、小規模設備で他の利用者へ直接的な悪影響が生じることはほとんどありません。

また、完全自家消費型の発電システムでは、保護継電器(RPR)の設置が義務付けられているので、逆潮流が発生した瞬間にPCSは強制停止します。よって、逆潮流自体が発生しません。

※追記(2026年7月)RPR(逆電力継電器)の設置は「逆潮流なし」(完全自家消費型)契約における系統連系技術要件上の原則ですが、発電設備容量が契約電力の一定割合以下である場合や、パワーコンディショナの単独運転検出機能で確実に検出できる場合など、設置を省略できる規定もあり、一律の義務ではありません。個別の要否は電力会社との系統連系協議でご確認ください。

*余剰売電契約では、逆潮流が「このくらいの量で発生する」という計画をあらかじめ電力会社に申請し、その分の系統増強費用を負担して接続します。系統増強費用には、接続検討費用(22万円)と、工事負担金(電力会社と需要家による折半)があります。

※追記(2026年7月)「接続検討費用(22万円)」は高圧・特別高圧の系統連系における検討料の実務水準を指すもので、低圧(住宅等)の連系ではこの区分自体が発生しないケースもあります。また「工事負担金(電力会社と需要家による折半)」については、現在の指針では受益者負担の考え方に基づき「特定負担」「一般負担」(一般負担には上限4.1万円/kWの目安あり)に区分されており、単純な折半とは異なる整理がなされています。個別の負担額・区分は、電力会社への接続検討の回答でご確認ください(例: 四国電力送配電 系統連系の手続き)。

系統接続検討や工事負担金の申請の流れ全体については、太陽光発電設備の導入前に必要な「申請」とは何か?その重要性は?でも解説しています。

自家消費型太陽光発電でも、余った電気が外へ流れることはあるのか

———自家消費型太陽光発電でも、余った電気が外へ流れることはあるのですか?

技術的にはゼロとは言えません。

ですが、発電量が工場や施設の消費量を上回った瞬間、余剰電力が発生し、上位電圧が許容範囲内なら系統へ流れ、超えそうならパワコンが出力抑制(または蓄電池へ充電)されます。

自家消費が目的でも、発電量と使用量が完全に一致するわけではないので、晴天の昼間などに逆潮流が起きやすくなります。

しかし、先述のとおり完全自家消費型の発電システムでは保護継電器(RPR)を設置していますので、逆潮流が発生した瞬間にPCSは強制停止し、逆潮流は発生しない仕組みとなっています。

逆潮流はどうやって測っているのか(スマートメーター)

———電気の向きはどうやって測っているのですか?

スマートメーター(電力量計)と呼ばれる機械を用いて計測しています。

現在普及している住宅用(低圧)のスマートメーターは、電気が「入ってくる量」と「出ていく量」を1台で別々に計測できる“双方向計量型”です。メーター内部のセンサーが電流の向きを常時検知し、30分ごとなどの細かな時間単位で逆潮流(売電電力量)を記録します。

一方、工場や大型ビルなど高圧で受電している場合は、スマートメーターを買電用と売電用の2台に分けて設置します。高圧用メーターは単方向計量が前提となるため、購入電力量と逆潮流電力量をそれぞれ専用のメーターで測定する仕組みです。

パワーコンディショナ(PCS)に逆潮流を防ぐ機能はあるのか

———パワーコンディショナには逆潮流を防いだり制御したりする機能があるのですか?

現行の太陽光発電用パワーコンディショナ(PCS)単体には、逆潮流を自動的に抑制する機能はほぼ搭載されていません。

逆潮流を防止するには、需要側の負荷を計測してPCSの出力を指令する「出力制御ユニット」やHEMSコントローラなど、別途の制御機器が必要になります。 これらの制御機器が家庭や工場の消費電力をリアルタイムで監視し、系統へ流れる電流がゼロ(許容帯域内)になるようPCSの出力を調整します。

発電を抑制すると本来得られるはずの電気が失われるため、蓄電池を併用して余剰分を貯蔵・活用する方法が理想的です。

蓄電池を置けば逆潮流を減らせるのか

———蓄電池を置けば逆潮流を減らせるのですか?

蓄電池は逆潮流を抑える用途としては使用できません。一方で蓄電容量が十分なら、昼間の余剰電力を貯蔵し、夕方や夜に放電して自家消費を増やすため、年間を通じて逆潮流を減らすことは可能です。

蓄電池の価格については、【蓄電池の価格は高いのか?】業界20年の専門家に聞く、蓄電池の価格について。で詳しく解説しています。

余剰売電と完全自家消費、どちらが得になることが多いのか

———余った電気を売るのと自分で使うのでは、どちらが得になることが多いのでしょうか?

まず前提として、余剰電力が発生しているということは「自分では使いきれない分」がすでにある状態です。その上で比較すべきは、

  • 余剰売電型(系統に流して買い取ってもらう)
  • 完全自家消費型(系統には流さず出力制御や蓄電で対応する) 

のどちらが総コストを下げられるか、となります。

余剰売電を選ぶ場合、電力会社への接続検討費用や系統連系工事費負担金、計量機器の増設費など初期投資が発生します。これらを回収できるかどうかは、FITなどの買取単価と、見込まれる余剰電力量次第です。

一方、完全自家消費を選ぶと上記の初期費用は不要ですが、需要を上回った発電分は出力抑制によるロスか、蓄電池への充電に回すため蓄電池の設備費・劣化費用がコストとなります。

近年はFIT単価の低下と接続費用の高止まりが同時に進んでおり、中小規模の設備では「売るより使う(完全自家消費)」が経済的に有利となるケースが増えています。ただし、案件規模や負荷パターン、蓄電池の有無で条件は大きく変わるため、初期費用と長期のキャッシュフローを比較した個別試算が不可欠です。

余剰売電型と完全自家消費型の経済性の違いをさらに詳しく比較したい方は、売電型太陽光発電と自家消費型太陽光発電の違いとは?もあわせてご覧ください。

負荷パターン(電力の使用パターン)が設備設計に与える影響については、「業界ごとに異なる電力使用パターン」は、太陽光発電設備の設計にどのように影響するのか?で解説しています。

【2026年7月追記】出力制御の拡大と逆潮流の関係

逆潮流と混同されやすい制度に「出力制御(出力抑制)」があります。出力制御は、再生可能エネルギーの発電量が需要を上回りそうな場合に、電力会社が発電設備の出力を一時的に抑える仕組みで、2022年4月からは旧ルールの500kW未満の太陽光発電設備も対象に加わりました。2026年3月1日には、東京電力パワーグリッド管内(関東エリア)でも初めて再生可能エネルギーの出力制御が実施されたと報じられています(資源エネルギー庁・報道各社)。

出力制御の対象になるのは、電力会社へ電気を送る(売電する)契約を結んでいる設備です。完全自家消費型でRPR(逆電力継電器)により逆潮流ゼロを維持している設備は、系統へ電気を送っていないため出力制御の直接対象にはなりません。出力制御が全国的に拡大する局面では、本記事で解説している「売るより使う(完全自家消費)」の経済的なメリットが、今後さらに強まる可能性があります。

最新の出力制御の実施状況は、資源エネルギー庁「なるほど!グリッド」出力制御についておよび各電力会社(東京電力パワーグリッド等)の公式ページでご確認いただけます。

よくある質問(FAQ)

Q1. 「逆潮流」の読み方は?

「ぎゃくちょうりゅう」と読みます。太陽光発電などの余剰電力が電力会社の送電線へ流れ出す現象を指す用語です。

Q2. 「逆潮流あり」「逆潮流なし」の契約とは、何が違うのですか?

「逆潮流あり」は、電力会社への売電(余剰売電など)を前提とした契約区分です。「逆潮流なし」は完全自家消費型で、契約上も物理的にも逆潮流を発生させない区分で、RPR(逆電力継電器)の設置により逆潮流を検知した瞬間に発電設備が停止する仕組みになっています。

Q3. 逆潮流が「禁止」されることはあるのですか?

電力会社と「逆潮流なし」(完全自家消費型)の契約を結んでいる場合、逆潮流は契約上禁止されており、RPRによって物理的にも逆潮流が発生した瞬間に発電設備が停止する仕組みになっています。