太陽光FAQ

売電とは?自家消費型太陽光との違い・FIT価格をわかりやすく解説

作成者: 岩見啓明|Jul 3, 2026 11:11:26 AM

A. 売電とは、発電した電気を電力会社に販売して収入を得る仕組みです。

売電とは、太陽光発電設備で発電した電気を電力会社に販売し、その対価(売電収入)を得る仕組みです。一方、発電した電気を家庭や工場の設備で直接使い、電力会社から買う電力量を減らすのが「自家消費型」太陽光発電です。

売電型太陽光発電と自家消費型太陽光発電の違い

———売電と自家消費は、そもそも何がどう違うのでしょうか?

売電型(全量売電)は、発電した電気を”すべて”電力会社へ売る仕組みです。

「発電量×FIT(固定価格買取制度)の単価」が発電事業者にとっての収入になります。

一方、自家消費型(完全自家消費)は、発電した電気をすべて自社(自宅)で使います。

「購入時の電気料金単価 × 自家消費量」の計算式によって、どのくらい電気を買わなくて済んだのかを計算できます。

※住宅用に多い「余剰売電型」は“自家消費+余りだけ売電”というハイブリッド方式で、本稿では比較を分かりやすくするために 全量売電完全自家消費 を主軸に説明します。

———売電の収入を決める、FITの単価はどう決まって、なぜ年々下がっているのですか?

FITでの買取単価は「システム導入費用(kW 単価)÷ 回収年数」をベースに毎年、経済産業大臣が設定します。設備価格が下がれば「必要な回収単価」も下がる ── つまり“太陽光設備の導入費用が安くなったから” FIT単価が下がっているのです。

2025年度の例では、50 kW超の全量売電案件で 8.9 円/kWh、10–50 kW帯で 10 円/kWh が目安です。

※追記(2026年7月):上記は2025年度上半期(4〜9月)の価格です。2026年度は50kW以上(入札対象外)区分が9.6円/kWh、10kW以上50kW未満区分が9.9円/kWhに改定されています。さらに2027年度以降は、事業用太陽光発電(地上設置・10kW以上)が規模を問わずFIT/FIP制度の新規支援対象外となることが決定しました(経済産業省2026年3月19日発表)。詳しくは記事末尾の追記をご覧ください。

———直近で、自家消費型が主流になってきたのはなぜでしょう?

  • 電気料金が上昇したため、自家消費した電気料金削減効果の方が多くなった(2024年の高圧平均は 約 19.5 円/kWh で、FITとの差が10円超)。
  • また、自家消費型太陽光発電によって作られた電気は、CO₂削減効果を自社「*スコープ2」として直接計上できる(ESG評価が取りやすい)。

※追記(2026年7月):高圧の電気料金平均単価は変動が続いており、新電力ネットの集計では2026年3月時点で18.92円/kWh(前年同月比10.12%減)です。2026年度のFIT単価(9.6円/kWh、50kW以上区分)と比べても約9円/kWhの開きがあり、自家消費が経済的に有利という結論は変わりません。

*スコープ2:他者から供給された電気・熱の使用に伴う間接排出。

———数字で比べると、どのくらい差があるのでしょうか?

100 kWh発電した場合のシンプル比較です。

  • 全量売電型:8.9 円/kWh × 100 kWh = 890 円
  • 自家消費型(高圧):19.5 円/kWh × 100 kWh = 1,950 円

差額は1,060 円。年間発電量が10万 kWhなら 約106万円 の違いになります。

———経済面以外に、自家消費型が評価される理由はありますか?

自家消費は発電と使用(需要)が同一地点で完結するため送電ロスが少なく、逆潮流もほとんど発生しないので、系統の電圧変動も抑えられます(完全に無くなるわけではありません)。

さらに化石燃料発電を置き換える(発電しない)効果が、直接自宅や工場のCO₂削減に反映されるので、環境経営や脱炭素の取り組みとして分かりやすい成果を示せる点が高く評価されています。

【2026年7月追記】売電環境の変化(出力制御・FIT制度の見直し)

2026年度以降、太陽光発電の「売電」を取り巻く環境はさらに変化しています。

  • 出力制御(出力抑制)の拡大:再エネの発電量が需要を上回りそうな場合に電力会社が出力を一時的に抑える「出力制御」の対象・頻度が広がっています。例えば九州本土では、2026年度に再エネ全体で6.9%程度の出力制御が見込まれています(九州電力送配電株式会社・2025年12月24日発表)。出力制御の対象は電力会社へ売電する契約の設備であり、完全自家消費型(逆潮流ゼロ)の設備は直接の対象になりません。
  • FIT期間満了後(卒FIT)の買取単価低下:FIT期間(住宅用10年・事業用20年が基本)が満了すると、その後の買取単価は電力会社・新電力各社が個別に設定する水準に切り替わり、FIT期間中よりも大きく下がるのが一般的です。具体的な単価は各社の公式ページでご確認ください。
  • 事業用太陽光(地上設置)のFIT/FIP新規支援終了:2027年度以降、事業用太陽光発電(地上設置・10kW以上)は規模を問わずFIT/FIP制度による新規支援の対象外となります(2026年度の入札落札分は除く)。屋根設置・住宅用(10kW未満)は初期投資支援スキームのもとで継続します。

出力制御の拡大や地上設置区分の新規支援終了は、いずれも「売電に伴う不確実性・制約」が増す方向の変化です。本稿の結論である「発電した電気は売るより自社で使うほうが経済的」という関係は、これらの動きを踏まえてもむしろ強まっている状況にあります。ただし個別の投資判断は設備条件や契約内容により異なるため、最新の一次情報や電力会社・EPC事業者への確認をおすすめします。

最新の買取価格は資源エネルギー庁「買取価格・期間等」、出力制御の実施状況は資源エネルギー庁「なるほど!グリッド」出力制御についてでご確認いただけます。売電契約と逆潮流の関係は逆潮流とは?で詳しく解説しています。