判断の要点
経年劣化は、発電量の減少というかたちで表れます。どの程度の減少を見込むかは設計の前提になるため、恒電社では20年間の発電シミュレーションをご提示する際に、あらかじめ経年劣化を考慮した数値を反映しています。たとえば年0.4%ずつ発電量が減少すると仮定し、20年後にはどの程度の発電量になるかという予測をお示しする形です。
年0.4%の低下が20年続くと仮定した単純な計算では、累積の低下は約8%程度にとどまり、20年後も初期出力の9割超を維持できる計算になります。劣化率は製品により異なるため、あくまで設計時の試算例です。実際の設計では、メーカーが公表する劣化率の実績値をもとに、個別にシミュレーションを行います。
この劣化率を加味した20年間の発電シミュレーションは、ご契約の前にお客様へお示ししています。電気設備である以上は経年劣化が起こるという前提をご理解いただいたうえで、ご契約をお願いするためです。導入判断に使う試算の考え方は自家消費型太陽光発電の「投資回収年数」の試算方法で解説しています。
設計では、パネルや製品の仕様書にある経年劣化率を使って計算し、その数値をもとにシミュレーションを作成します。メーカーが提示する「年間○%の出力低下」を前提として、何年後にどの程度の発電量になるかを試算する形です。この出力の低下率は「減衰率」とも呼ばれ、パネルごとに指標が示されています。
劣化率の具体的な数値はモジュール・メーカーによって異なり、単一の政府基準値が定められているわけではありません。NEDO「太陽光発電設備の評価・回復手法の技術情報および利用ガイド」でも、経年劣化率は個別モジュールの実測値ではなく、過去の分析結果やメーカーの保証値に基づいて設定するのが一般的とされています。
| 参照するもの | 設計での使い方 |
|---|---|
| 採用するパネルの仕様書 | 記載された経年劣化率を、試算の基本的な前提として使う |
| メーカーの保証値・過去の分析結果 | NEDOのガイドが、劣化率の一般的な設定根拠として挙げているもの |
| 過去の実績値 | 長期の発電量を試算する際の参考にする |
いずれも個別のモジュールを実測した値ではなく、設計の段階で手に入る資料から劣化率を決めていることが読み取れます。設計時には、メーカーが提示する仕様書の劣化率に加えて過去の実績値も参考にし、長期の発電量を試算します。年間どれだけ発電量が減っていくかを予測しておくことで、長期的に効率よく発電できる設計につなげています。
経年劣化と聞くと、パネルがボロボロになる、割れる、剥がれるといった状態を思い浮かべる方が多いかもしれません。実際の太陽光パネルの経年劣化は、ガラス面の劣化よりも、基板や部品など電気的な回路が故障して発電量が落ちることのほうが多くなります。
劣化の主な原因は、ガラス面ではなく内部の基板や部品の破損です。ガラス面の傷みよりも内部の故障が発電量に効いてくる点が、経年劣化の分かりにくさにつながっています。
経年劣化への備えは、メンテナンスの話と切り離せません。経年劣化そのものを完全に防ぐ方法は「そもそも使わない」以外になく、できるのは定期的な点検で不具合のある部品をいち早く見つけて交換することです。
対策の置きどころは「劣化の進行を止めること」ではなく「不具合を早い段階で特定すること」になります。定期的なメンテナンスで故障箇所を早期に特定することが重要なのは、このためです。点検の頻度と費用の考え方は太陽光発電設備のメンテナンスの頻度と費用で解説しています。
発電量の低下が確認されても、深刻な状態でない限りは交換せず、そのまま使い続けるという選択もあります。交換するかどうかは、最終的にお客様の判断に委ねられます。判断は次の順序で進めます。
電気設備である以上、太陽光発電設備には経年劣化が起こります。劣化を織り込んだ長期の発電シミュレーションを契約前に確認しておくことが、導入後の想定とのズレを防ぎます。自家消費型太陽光発電そのものの仕組みは自家消費型太陽光発電とは何かを解説したコラムをご覧ください。
――お客様が経年劣化に気づくとしたら、何を見ればよいですか?
お客様にとって最も分かりやすい指標は、年間の発電量が減っているかどうかです。
――発電量が下がったら、すぐに交換が必要になりますか?
ただし、経年劣化が進んだからといって、必ずしもパネル交換に直結するわけではありません。
――経年劣化の進行を遅らせる方法はありますか?
正直に申し上げて、経年劣化自体を根本的に防ぐのは難しいです。
恒電社では、経年劣化を考慮した発電シミュレーションをご提示し、ご理解いただいたうえでご契約をお願いしています。
一般的な目安として扱ってください。最新の製品では情報が変わっている可能性があるため、導入時には採用するモジュールの仕様書に記載された数値が判断の基準になります。製品やメーカーによって差があるため、別の製品の数値がそのまま当てはまるとは限りません。
恒電社では、最も適していると考えるパネルを選定し、その1種類をご提案しています。劣化率も、そのパネルの仕様書に記載された数値をもとに試算します。複数の製品の劣化率を比べたうえで選んでいただく形ではありません。
経年劣化のほかに、パネルの破損による発電量の低下もあります。発電量が落ちている場合は、点検で不具合のある部品をいち早く見つけることが対応の起点になります。破損した場合の対応は太陽光パネルが破損した場合の対応で解説しています。
発電量の低下や機器の不具合は、気づくのが遅れるほど損失が積み上がります。恒電社は太陽光発電設備の監視・点検・パネル洗浄などのO&Mを提供しています。導入後の維持管理まで含めて、お気軽にご相談ください。