太陽光FAQ

太陽光発電のメンテナンス頻度と費用の決まり方|点検内容を解説

作成者: 岩見啓明|Jul 3, 2026, 11:11:31 AM

A. 電気主任技術者の外部委託承認を受けている出力50kW以上5,000kW未満の設備は、パネルとパワーコンディショナの点検頻度が国の運用基準上、年2回以上とされています。外部委託先が行う法令・承認上必要な点検とは別に、恒電社が受託する年次点検は年一回のケースが最も多く、外観検査と電気的測定(電圧・内部抵抗・絶縁抵抗)を行います。費用は設備規模と測定項目の数で変動します。

判断の要点

  • 外部委託承認を受けている出力50kW以上5,000kW未満の設備は、パネルとパワーコンディショナの点検頻度が国の運用基準上、年2回以上とされています。出力10kW以上50kW未満で、構内の自家用電気工作物と接続していない設備は「小規模事業用電気工作物」に該当し、技術基準に適合した状態を維持する義務があります
  • 出力50kW以上の自家用電気工作物では、法令・承認上の基準を満たす範囲で、設置者と電気主任技術者が設備の状況を踏まえて点検頻度を決め、「保安規程」に記載します
  • 恒電社が受託する年次点検では、外観検査と電気的測定の2本立てで行います。基本的な電気的測定は電圧・内部抵抗・絶縁抵抗の3項目で、異常があれば追跡調査に進みます
  • 費用は太陽光パネルの枚数、パワーコンディショナの台数、測定する項目数が増えるほど上がります

点検頻度の基準や決まり方は設備区分・委託形態で異なる

電気主任技術者の外部委託承認を受けている出力50kW以上5,000kW未満の太陽電池発電設備では、国の運用基準上、太陽光パネルとパワーコンディショナの点検頻度は「年2回以上」とされています(経済産業省資料(2013年12月))。次章の保安規程にもとづく頻度の決め方は、主に出力50kW以上の自家用電気工作物に関する内容です。

出力の区分によって、適用される制度と目安は次のように分かれます。

設備の区分 制度上の位置づけ 点検頻度に関する扱い
出力50kW以上5,000kW未満(電気主任技術者の外部委託承認を受けている設備) 保安規程の届出と電気主任技術者の選任が必要 国の運用基準上、パネルとパワーコンディショナは年2回以上
出力10kW以上50kW未満(小規模事業用電気工作物。構内で自家用電気工作物と接続する場合を除く) 技術基準適合維持義務と基礎情報の届出は必要。保安規程の届出や電気主任技術者の選任までは義務付けられていない 法令上の一律の点検頻度は、この資料からは確認できません。技術基準への適合を維持するため、設備に応じた点検が必要です

なお、出力50kW未満でも、構内で高圧受電設備などの自家用電気工作物と接続している場合は自家用電気工作物に該当し、上の区分とは扱いが異なります(経済産業省 中部近畿産業保安監督部近畿支部)。出力と委託形態によって義務の範囲が異なり、点検頻度の決まり方も変わることが読み取れます。小規模事業用電気工作物は、2023年3月の制度改正により新設された区分です。適用される制度の詳細は経済産業省「太陽電池発電設備を設置する場合の手引き」や所管の産業保安監督部、電気主任技術者にご確認ください。

外部委託先が行う法令・承認上必要な点検とは別に、恒電社が受託する年次点検は年に一回のケースが最も多くなっています。恒電社では、台風被害を懸念されるお客様について、年次点検を台風シーズン後の秋頃に設定するケースが多くあります。

出力50kW以上では、法令・承認上の基準を満たす点検頻度を保安規程に定める

出力50kW以上の自家用電気工作物では、設置者が「保安規程」を定め、産業保安監督部へ届け出る必要があります。保安規程の作成や届出の実務には、電気主任技術者などが関与する場合があります。保安規程には太陽光設備の点検頻度などを記載します。実際の頻度は、適用される法令や外部委託承認上の基準を満たす範囲で、設備の設置者と、保安規程の作成に関与する電気主任技術者が、設備の状況を踏まえて定めます。

たとえば、電気主任技術者が設備の状況から年2回を超える頻度が必要と判断すれば、その頻度が採用されます。

点検の内容①外観検査

メンテナンスは外観検査と電気的な測定の2つに分かれます。

外観検査では、視覚的に太陽光パネルが割れていないか、汚れがひどくないかを確認します。あわせて、パネルを固定している金具やビスの緩み、架台の破損もチェックします。目視で判断できる内容ですが、割れ方や緩みの程度を見極めるには、見る人に一定の知識があることが前提です。

点検の内容②電気的測定の3項目

電気的測定では、設備全体の電気回路に不具合がないかを検査します。恒電社の年次点検で、正常時に実施する基本的な測定は次の3項目です。

測定項目 測定する対象 分かること
電圧測定 発電していない状態でのパワーコンディショナと各ストリング回路(太陽光パネルの連結された回路)の電圧 回路の一部が正常に機能していない可能性
内部抵抗の測定 専用の機械で検査用の信号電流を流したときの、直流回路内の内部抵抗 壊れたパネルが抵抗となって発熱するホットスポット現象などのパネル破損の兆候
絶縁抵抗の測定 規定の電圧をかけた際の、電気を外に漏らさない力の残り具合 漏電のリスク

3項目は単独で見るのではなく外観検査も含めて総合的に確認し、異常が見つかった場合はさらに詳細な調査を行います。

電圧測定では、設計上の値と比べて電圧が大きく下がっているストリングは、機能していないパネルが含まれている可能性があります。

現地で回路ごとに電圧を測ると、設計上の値との差が数値で表れます。

内部抵抗は、壊れているパネルがあるとその部分が抵抗となって発熱を起こすため、値が上昇します。毎年の測定値を記録し、前年との比較で明らかな変動があれば詳しく調べる仕組みです。

絶縁抵抗の値には、電圧の区分ごとに「何Ω(オーム)以上」という基準が決まっています。規定の電圧をかけた際の値が基準を下回ると漏電のリスクがあるため、より詳細な調査が必要になります。

異常が見つかったあとの追跡調査

機能していないパネルがあると分かった場合は、次の順序で原因を特定します。

  1. 計測器を使って「どのパネルが怪しいか」を絞り込む
  2. 現地でサーモグラフィカメラを使い、温度の異常があるかを確認する

温度の異常は画像に現れるため、目視では気づけない発熱箇所を絞り込めます。

見た目に問題がなくても、クラスターやジャンクションボックスの故障で電気が通らなくなっていることがあり、壊れ方まで踏み込んだ調査が必要です。パネルの上に当てるスキャナのような計測器や、金属探知機のように電気の通り道を音で知らせる機械も使います。

サーモグラフィカメラ付きドローンによる点検

サーモグラフィカメラをドローンに搭載して撮影する方法もあります。

外観検査と、電圧・内部抵抗・絶縁抵抗の測定結果を総合的に確認することで、原因やリスクが明確になります。経年劣化については、関連記事太陽光パネルの経年劣化率は何%か?も参考になります。

関連記事では、太陽光パネルが破損した場合の対応を解説しています。

点検費用の決まり方と、点検を怠るリスク

メンテナンス費用は発電設備の規模で変わります。太陽光パネルの枚数やパワーコンディショナの台数、測定する項目や台数が増えれば、その分費用も増加するというシンプルな仕組みです。

電気的な測定を怠ると発電不良に気づけず、太陽光発電設備のメリットが活かされない状態が続く可能性があります。

恒電社が導入した発電所には遠隔監視装置を設置しており、お客様がリアルタイムで発電状況を確認できます。ただし、天気が悪かったために発電量が少ないのか、トラブルが原因で少ないのかは、監視の数値だけでは切り分けられません。発電量の減少が微細な場合は異常に気づきにくいため、健康診断のような定期点検で状態を記録しておくことが重要です。

発注先を保守体制の観点から選ぶ視点はEPC事業者の選定における「保守」の重要性と導入企業が業者を選んだ理由をまとめたコラムが、駐車場に設置した設備の点検はソーラーカーポートのメンテナンスが参考になります。

現場担当者の視点(事業部長 折原への取材より)

――点検頻度や点検内容は、誰が決めるのですか?

我々のようなEPC企業はあくまで推奨までにとどまります。最終的な点検頻度や点検内容の決定は、お客様と電気主任技術者様との間で決めていただく必要がございます。

――大きな地震や記録的な豪雪があった場合は、どう対応しますか?

外観検査や電気的な点検も含めて、お客様からご要望があれば随時「スポット点検」を行っています。ただし実際には、スポット点検の依頼はそれほど多くはありません。

――点検を怠るとどういったリスクがありますか?

一番恐ろしいのは、外観検査を怠った結果、安全面での危険性に気付けないことです。例えばボルトの緩みに気づけなかった場合、台風が来た際に太陽光パネルが飛んでしまい、人に当たるなどの事故につながる可能性があります。

恒電社では、年次点検・スポット点検として外観検査と電気的測定を行っています。施工後の監視・点検を含めた対応については、恒電社の施工から保守までの対応体制をご覧ください。メンテナンスをご希望の場合はご相談ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 外観検査でパネルの割れが見つかったら、必ず交換が必要ですか?

交換の要否は、割れ方や絶縁抵抗値の状況によります。絶縁抵抗が著しく低下している場合は、電気が漏れて漏電している可能性があります。外観検査と各測定結果を総合的に確認し、原因やリスクを調べます。

Q2. 太陽光パネルは、経年で少しずつ壊れていくものですか?

必ずしもそうではありません。ケースバイケースで、設置から数年経過していても非常に健康的な状態を維持しているパネルもあります。実際の状態は点検の測定値で確認します。

Q3. ストリングの電圧が下がると、発電は完全に止まりますか?

完全に止まるとは限りません。製品の回路構成や故障状態によりますが、バイパスダイオード(発電回路を迂回させる素子)が正常に作動すると、異常が生じた部分を迂回して、残る部分で発電を続ける場合があります。製品によって異なりますが、複数のクラスターに分かれた構成のパネルがあり、1つのクラスターに異常が生じても、バイパスダイオードが正常に作動すれば、残る部分で発電を継続できる構成の製品があります。

発電量の低下や機器の不具合は、気づくのが遅れるほど損失が積み上がります。恒電社は太陽光発電設備の監視・点検・パネル洗浄などのO&Mを提供しています。導入後の維持管理まで含めて、お気軽にご相談ください。