判断の要点
自家消費型太陽光発電で削減できる電気代は、主に3つの要素の掛け算で決まります。①年間発電量 × ②自家消費率 × ③電気料金単価が、電気代削減メリットの基本式です。
このうち②と③は導入先ごとに異なるため、「導入すれば年間いくら下がる」と一律の金額で示すことはできません。金額を知るには、自社の屋根・電力使用実績・単価を式に当てはめて試算する必要があります。削減額の事例は【電気代削減額の事例】法人向け自家消費型太陽光発電で、いくらコストカットできる?をご覧ください。
自家消費率は、太陽光で発電した電力量のうち、自社の建物内で使った電力量の割合です。計算式は次のとおりです。
自家消費率(%)= 自家消費した電力量 ÷ 発電した電力量 × 100
混同しやすいのが、建物で使った電気全体のうち、太陽光でまかなえた割合です。本記事では、この割合を「自給率」と呼びます。分母が発電した電力量ではなく、建物の電力使用量になります。同じ設備でも、2つの数値は大きく異なることがあります。
| 指標 | 分母 | 計算の例(仮の数値) |
|---|---|---|
| 自家消費率 | 発電した電力量 | 年間発電量30万kWhのうち、27万kWhを建物内で使用 → 90% |
| 自給率 | 建物の電力使用量 | 年間使用量100万kWhのうち、27万kWhを太陽光でまかなう → 27% |
※数値は計算方法を示すための仮の例です。
発電量を基準に電気代の削減額を試算する場合は、自家消費率を用いて自家消費した電力量を求めます。自家消費した電力量に電気料金の1kWhあたりの単価を掛けたものが、購入電力量の減少による削減額の目安です。
法人の建物に一律に当てはめられる自家消費率はなく、建物の用途や稼働状況などによって変わります。参考として、資源エネルギー庁が2019年11月の調達価格等算定委員会の資料「地域活用要件について」で示したモデル試算では、小規模な事業用太陽光発電を想定したコンビニで78%、業務ビル・工場で71%(自家消費率は平日100%、土日0%)とされています。
これは法人一般の平均値ではなく、代表的な条件を置いたモデル試算です。同資料は、天候などの諸条件によって変動があることに留意が必要としています。
実際の自家消費率は、設備の規模と、建物の電気の使い方で大きく変わります。自社の数値は、次の章の方法で試算します。
②の自家消費率の具体的な算出には、以下の2つのデータを用います。
30分値(デマンド値)とは、30分間の消費電力の平均値です。1時間に2コマずつ、1日(24時間)では48個のデマンド値が存在することとなります。この2つを重ねて照らし合わせることで、発電した電気のうち、実際にどれだけ建物内で使えるかを把握できます。
発電量のシミュレーションは、このように季節ごと・平日と休日ごとに30分刻みで並べて確認します。
なお、自家消費率はお客様の電力使用パターンによって大きく変わります。たとえば、土日にまったく電気を使わない場合は、発電しても使いきれず自家消費率が下がるため、削減効果も小さくなります。
恒電社では、次の手順で電気代の削減見込みを試算しています。
工場、倉庫、マンションビルなど、建物の用途によって電力の使い方が異なるため、見込まれる自家消費率もそれぞれ異なります。その結果、電気代削減額にも違いが出てきます。同じ「工場」であっても、土日が完全休業で電力使用量がほぼゼロになるような場合は、自家消費率は低くなります。関連して「業界ごとに異なる電力使用パターン」は、太陽光発電設備の設計にどのように影響するのか?、【導入事例】武州製氷株式会社様が自家消費型太陽光発電を導入もあわせてご覧ください。
受発注の状況によって製造ラインの稼働量や電力消費が変動する場合も、営業担当がお客様からのヒアリングで稼働状況や今後の見通しを確認し、実際の30分値データに反映されている使用実績をもとに自家消費率を算出します。将来の稼働見込みをどう置くかは、お客様の判断が最も大きい要素になります。
一方で、稼働ケース別に削減額を細かく分けて提示するケースは多くありません。多くのお客様では、たとえ屋根いっぱいに太陽光パネルを設置しても、自家発電で電力需要をすべてカバーできるわけではないためです。使用量が発電量を上回っている限り、製造ラインが1〜2本増減しても、自家消費率や削減効果には大きな影響が出ないことがほとんどです。
太陽光発電の出力は、日の出から日没にかけて山型のカーブを描きます。一方で、製造業などの電力需要は「鯨型のカーブ」になることが多く、発電の山と需要の山がずれます。
| 比べる観点 | 太陽光発電の出力 | 製造業などの電力需要 |
|---|---|---|
| カーブの形 | 山型 | 鯨型 |
| 立ち上がり | たとえば朝6時半ごろ | 朝7〜8時ごろ |
| 落ち着く時間帯 | 18時ごろ | 夜まで続く |
発電量が使用量を上回る時間帯には、使いきれない電力が生じ、自家消費率が下がる場合があります。
理論上は、発電時間に合わせて朝6時半から作業を開始し、18時までに終わらせる運用にすることで、自家消費率を最大化できます。ただし実際の運用は従業員の皆さんの働き方とも関わるため、朝6時から出勤して働くという形は、実務的に難しいケースが多くなります。
――具体的なご提案の進め方を教えてください。
この段階では、「お客様の建物にはこれくらいの枚数のパネルが設置できそうです」といった仮の配置プランをご提示しつつ、「実際の電力使用状況によっては、この枚数では多すぎる可能性もあります」といった調整の余地も含めてお話ししています。
――使用量が発電量を上回っている場合、自家消費率はどうなりますか?
つまり、発電量よりも使用量が上回っている限りは、発電した電気はすべて自家消費され、自家消費率は常に100%に近い状態になるんです。
――自家消費率を高めるには、どうすればよいですか?
そのため、実際には「電力使用の時間帯を太陽光発電にできるだけ合わせていく」、つまり稼働スケジュールを調整することで、自家消費率を高めるといった工夫が現実的です。
恒電社では、航空写真をもとにした仮の配置プランの段階から調整の余地もあわせてお伝えし、実際の使用状況を踏まえたうえで、現実的な削減効果をご提案しています。
変わります。単価は計算式の③にあたるため、同じ発電量・同じ自家消費率でも、単価が上がれば削減額は大きくなり、下がれば小さくなります。試算は、電気料金明細などから確認した単価情報を前提とする見込みとしてご提示しています。単価そのものについては企業の電気料金の決まり方をご覧ください。
余剰電力を蓄電池に貯めておいて、夜間など電力料金が高くなる時間帯に放電して使うという方法があります。こうした仕組みは「ピークカット」や「ピークシフト」と呼ばれており、特に電力コストの削減を重視する企業様から注目されています。余剰電力量についても、30分値による発電量と使用量の比較から確認できます。
本記事で扱っているのは電気代の削減額の考え方までです。投資回収年数については自家消費型太陽光発電の「投資回収年数」は、どのように試算したら良いのか?をご覧ください。また、試算の前提となる自家消費型太陽光発電の仕組みや、導入方法ごとの違いは自家消費型太陽光発電とは?仕組み・メリットと注意点、3つの導入方法の解説で解説しています。
電気代の削減余地は、いまの契約単価と電気の使い方で会社ごとに異なります。自家消費型太陽光発電や省エネで購入電力量をどこまで減らせるか、御社の条件での検討からご相談いただけます。