ソーラーカーポート設置の際に必要な許可や法規制にはどのようなものがあるか?

A. 都市計画区域内など建築確認の対象となる区域で、既存の建物がある敷地に増築する形で設置する場合、増築部分の床面積が10㎡を超えるときは建築確認申請が必要になり、防火・準防火地域内では面積にかかわらず必要です。あわせて、受電設備や電力系統との接続方法、逆潮流の有無などに応じて、電力会社との系統連系手続きが必要になる場合があります。

判断の要点

  • 屋根と柱を備えるソーラーカーポートは建築物に該当し得る。建築確認の対象となる区域(都市計画区域内など)で、既存建物のある敷地に増築として扱われる場合、増築部分の床面積が10㎡を超えると建築確認申請が必要。防火・準防火地域内では面積にかかわらず必要
  • 建ぺい率の制限に加え、用途地域や自治体独自の条例によって容積率の上限や追加の届出が関わることがある
  • 自家消費型でも、受電設備や電力系統との接続方法、逆潮流の有無などに応じて、電力会社との系統連系手続きが必要になる場合がある。建築確認申請とあわせて、恒電社では手続きを支援している
  • 出力50kW以上の太陽電池発電設備では、電気事業法上、電気主任技術者の選任と保安規程の届出が必要。50kW未満でも、構内で高圧受電設備などの自家用電気工作物と接続する場合は自家用電気工作物に該当するため、必要な対応を確認する

「建築物」として建築確認申請が必要になる条件

ソーラーカーポートの設置は、場合によっては建築基準法に基づく手続き(建築確認申請)やその他の許可が必要になります。一般的なカーポートと同様に、屋根と柱を備えるソーラーカーポートは建築物に該当し得るためです。そのうえで、設置形態、地域、床面積などにより確認申請の要否が決まります。

目安になるのは、既存の建物がある敷地内に増築する形で設置する場合の増築部分の床面積です(建築基準法第6条第2項。新築として扱われる場合は、この10㎡以内の除外は使えません)。床面積の算定方法は形状によって異なるため、建築士や所轄の建築指導課などにご確認ください。この面積が10㎡を超えるとき、また防火・準防火地域内では面積にかかわらず、事前に自治体の建築指導課などへ「建築確認申請」を行う必要があります。

以下は、建築基準法第6条第1項の確認の対象となる区域・建築物(都市計画区域内など)に設ける場合の整理です。

敷地・設置の条件 建築確認申請
既存建物のある敷地で、増築・改築・移転として扱われ、その部分の床面積が10㎡以下(防火・準防火地域以外) 原則として建築基準法第6条第1項の確認申請は不要
その部分の床面積が10㎡を超える(防火・準防火地域以外) 必要
防火・準防火地域内での新築・増築・改築・移転 面積にかかわらず必要

表からは、面積による線引きが効くのは防火・準防火地域以外の場合に限られることが読み取れます。新築として扱われる場合は、この除外は適用されません。

防火地域・準防火地域では、確認申請に加えて、屋根の構造も火の粉による建築物の火災の発生を防止する性能の基準に適合させる必要があります(建築基準法第62条)。

申請から工事までの流れは次のとおりです。

  1. 事前に自治体の建築指導課などへ建築確認申請を行う
  2. 申請内容の審査を受け、法令への適合が確認された後に確認済証が交付される
  3. ソーラーカーポートの工事を始める
  4. 工事完了後、対象となる場合は「完了検査」を受ける

ソーラーカーポートのメリットと考慮すべき点は、【法人向け】ソーラーカーポートとは?で解説しています。

建ぺい率・用途地域など敷地の側で確認する規制

建ぺい率(敷地に対する建築面積の割合)の規制にも注意が必要です。カーポートでも敷地内建築物の一部とみなされるため、既存建物と合わせて建築面積制限内に収まるかを確認します。

設置場所の用途地域や自治体独自の条例(景観条例、日影規制条例など)により、建ぺい率・容積率の上限や追加の届出が求められることもあります。工場・事業所の敷地では、既存建物とソーラーカーポートの合計面積が上限に収まるかを事前に確認しておく必要があります。

見落としやすい落とし穴──既存建物が現行の基準に適合しているか

建築確認申請でつまずきやすいのは、これから建てるソーラーカーポートよりも、すでに敷地に建っている建物の側です。過去に建築基準法が何度か改正されている中で、かつての基準には適合していたものの、法改正後の現行基準には適合しない「既存不適格」となっている場合や、増築等を契機に既存部分を含む適合状況の確認が必要になる場合があるためです。

その結果、ソーラーカーポートを設置しようというタイミングで建築確認申請を提出すると、役所から「そもそも既存の建築物が法令に適合していないのでは」と指摘されてしまうケースがあります。既存不適格であることのみを理由に、直ちに是正指示が出るとは限りません。ただし、増築時に既存部分への現行規定の適用や適合状況の確認が必要となる場合や、既存部分に法令違反が確認された場合には、追加対応や是正が必要となり、申請が通らない、あるいは手続きに大きく時間がかかる事態につながることがあります。

例えば、建築基準法の「日影による中高層の建築物の制限」に抵触する影がかかってしまっているケースがあります。この事例では、建設当時はその敷地が準工業地域に指定されていませんでした。

電力会社との系統連系手続きと、電気事業法上の届出

太陽光発電設備として、電力会社との系統連系手続きも必要です。自家消費型であっても、受電設備や電力系統との接続方法、逆潮流の有無などに応じて、一般送配電事業者との系統連系手続きが必要になる場合があります。具体的な手続きは接続先の電力会社へご確認ください。

導入前に必要な申請の全体像は、太陽光発電設備の導入前に必要な「申請」とは何かのFAQで解説しています。

太陽光発電設備の出力が50kW以上の場合は、電気事業法上の「自家用電気工作物」に区分され、電気主任技術者の選任と保安規程の届出(電気事業法第42条・第43条)が必要です。出力50kW未満でも、構内で高圧受電設備などの自家用電気工作物と接続する場合は自家用電気工作物に該当するため、既存の保安規程や主任技術者の管理範囲への反映が必要かどうかを含め、必要な対応を確認する必要があります。既存の保安体制の状況を施工業者や所管の産業保安監督部に確認しておきましょう。

蓄電池を併設する場合の消防法と、手続きの進め方

ソーラーカーポートに蓄電池を併設する場合、蓄電容量などの条件によっては、消防法に基づく火災予防条例上の届出や設置基準が関わることがあります。蓄電池を組み合わせた計画をお考えの場合は、早めに施工業者や所轄消防署へご相談ください。

手続きは複数の窓口にまたがりますが、建築確認申請や系統連系手続きといった各種手続きについて、恒電社では準備や申請を支援しています(対応範囲は案件によって異なります)。案件の条件によって関わる法令は変わるため、最終的な適用可否は所轄の行政庁・電力会社・消防署にご確認ください。

現場担当者の視点(事業部長 折原への取材より)

――建築確認申請では、どの範囲の建物が対象になりますか。

建築確認申請が必要となる場合、その確認申請は、これから建てるソーラーカーポートだけでなく、お客様の敷地内に建っている他の建築物も対象となる点で考慮が必要だったことがあります。

――既存建物の不適合を指摘されると、必ず是正が必要になりますか。

一方、「建物の改修工事ではなく、ソーラーカーポートの設置なので、本件とは関係ありません。これは昭和何年に建てられた建物なので適合していないんです。」と、説明を加えて再度申請することで通るケースもあります。正直、ケースバイケースです。

――設置を検討する段階で、事前に確認しておくとよいことはありますか。

まず、現在建っている建物の検査済証、つまり完了検査を経て発行される完了検査済証があるかどうかを確認していただけると、非常に助かりますが、ない場合もお気軽にご相談くださいませ。

恒電社では、法規制の確認や必要書類の準備・申請も含めてサポートしています。

解説者

折原 恭平
株式会社恒電社 エネルギーマネジメント事業部

折原 恭平

金融機関や信用調査会社での営業経験を経て2018年に恒電社へ入社し、法人営業を担当。2022年よりエネルギーマネジメント事業部長として営業・施工管理の管理者として組織改善に携わっています。

インタビュアー

原澤耀
合同会社HARAFUJI

原澤耀

合同会社HARAFUJI・COO。マーケティングを中心に、企業の戦略および戦術支援事業に従事。
2022年から恒電社のマーケティングも担当し、電気や太陽光発電のことを、各関連分野のエキスパートに直接ヒアリングをしながら、できる限り分かりやすい表現と専門的な視点の両立を重視した情報発信に取り組んでいる。

よくある質問(FAQ)

Q1. 既存建物への指摘は、ソーラーカーポート以外の工事でも起こりますか?

起こります。カーポートに限らず、例えば工場を増築する場合や、同一敷地内にもう一棟建てたいといったケースでも同様のことが起こります。

Q2. 2025年4月の建築基準法改正で、確認申請が必要になる面積の考え方は変わりましたか?

2025年4月には建築確認手続きに関する建築基準法改正(いわゆる「4号特例」の見直し、新2号・新3号建築物への再編)が施行されました。防火・準防火地域外で、増築・改築・移転に係る部分の床面積の合計が10㎡以内の場合に確認申請が不要となる基本ルール(新築として扱われる場合は除く)自体に変更はありません。

ただし、確認申請が必要になる場合の審査対象・必要書類は建築物の規模や構造によって変わっています。既存建物との適合関係についても、着工前に所轄の建築主事・指定確認検査機関へ最新の取り扱いをご確認ください。

Q3. 導入費用や必要なスペース、使い続けられる期間はどこで確認できますか?

それぞれ別記事で詳しく解説しています。ソーラーカーポートの導入費用がどのような要因によって算出されるかのFAQ、ソーラーカーポートの設置にどのくらいのスペースが必要かのFAQ、ソーラーカーポートをどのくらいの期間使い続けられるかのFAQをご覧ください。実際の導入例は、埼玉県の製造業がソーラーカーポートを設置した理由でご覧いただけます。

屋根の耐荷重や形状で屋根上設置が難しい場合でも、駐車場を活用するソーラーカーポートという選択肢があります。敷地の条件や駐車台数を踏まえた検討を、初期段階からお手伝いします。

この記事を書いた人

Iwami
株式会社恒電社

岩見啓明

恒電社ではマーケティング(動画、記事、広報、企画、セミナー運営、デジタル広告)に加え、人事やインサイドセールスなど、事業部を横断して活動。個人では登録者数1万人超えのYouTubeチャンネルを運用した経験の他、SDGsの啓蒙活動で国連に表彰された経歴を持つ。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローンの国家資格)、2024年に第二種電気工事士資格を取得。≫プロフィールはこちら

導入の投資対効果はどのぐらい?

  • 電気代
  • 投資対効果
  • CO2の削減

まずは 発電シミュレーション から

発電シミュレーションと
導入後の発電量の比較 例
業種
食品流通業
条件
導入時期:2023年3月
パネル枚数:345枚
設備容量:143.175kW
パネル設置面積:680㎡
屋根面積:3,710㎡
発電シミュレーションと導入後の発電量の比較グラフの例 発電シミュレーションと導入後の発電量の比較グラフの例
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