A. 電磁波の主な発生源は直流を交流に変換するパワーコンディショナで、発生するのは東日本50Hz・西日本60Hzの低周波帯域です。パネルは無音であり、周辺環境に大きな影響を及ぼす可能性は非常に低いとされています。
判断の要点
- 電磁波の主な発生源はパワーコンディショナ(PCS)で、発生するのは東日本50Hz・西日本60Hzの低周波帯域です。家庭用Wi-Fiの2.4GHzとは周波数の桁が異なります
- 環境省の資料では、パワーコンディショナなどが発する電磁界は周波数0〜300Hzの「超低周波電磁界」に分類され、国内の規制は国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)のガイドライン値と同等の水準で運用されています
- パネル自体は無音で、パワーコンディショナの動作音もごくわずかです。ただし機種や出力規模、設置環境によって差が大きいため、一律の数値では判断できません
- 工事中はインパクトドライバーなどの音が一時的に発生します。作業時間帯の調整、夜間作業は原則として行わない運用、工事前の近隣への説明で対応しています
電磁波の主な発生源はパワーコンディショナ(PCS)
太陽光発電システムには、太陽光パネルのほかにパワーコンディショナ(PCS)などの電気設備が含まれます。このうち電磁波の主な発生源となるのが、発電された直流電気を交流に変換するパワーコンディショナです。インバータと呼ばれることもあります。
ここで発生する電磁波は、東日本では50Hz、西日本では60Hzという「低周波」帯域にあたります。
太陽光発電システムが発する電磁波や騒音は、家電製品やオフィス機器と同程度、もしくはそれ以下とされています。「工業用の機器だから家庭用より強い電磁波が出ているのではないか」という誤解が生まれることもありますが、実際には、家庭用のWi-Fi機器や一般的な家電が出すレベルと同等か、さらに低い周波数です。
家庭用Wi-Fiとの比較で見る周波数の違い
太陽光発電設備から出る電磁波の周波数帯を、身近な機器と並べると次のようになります。家庭用Wi-Fiは2.4GHzという高周波帯で動作しています。
| 機器 | 周波数帯 |
|---|---|
| 太陽光発電システムのパワーコンディショナ | 東日本50Hz/西日本60Hz(低周波) |
| 家庭用Wi-Fi機器 | 2.4GHz(高周波) |
周波数の桁がまったく異なることからも、太陽光設備から出る電磁波の周波数がいかに低いかが分かります。
ただし、周波数が低いから人体に影響がない(高いから影響がある)という単純なものではありません。電磁波は周波数と電磁波の強さの組み合わせで評価されるもので、そのうえで、太陽光発電設備で発生する電磁波は、一般的には人体への影響はほぼないと考えられています。
電磁波・騒音に関する公的機関の見解
環境省「身のまわりの電磁界について」によると、太陽光発電のパワーコンディショナなどが発する電磁界は、周波数0〜300Hzの「超低周波電磁界」に分類されます。環境省の同資料では「電磁波」ではなく「電磁界」という語が使われています。
日本国内の規制は、国際非電離放射線防護委員会(ICNIRP)が定める国際的なガイドライン値と同等の水準で運用されています。
世界保健機関(WHO)も、これまでの研究レビューを踏まえ、ガイドラインの指針値を下回るばく露では健康への悪影響は確認されていないとの見解を示しています。
分類の考え方や規制の位置づけの詳細は、環境省「身のまわりの電磁界について」をご確認ください。
騒音はパネルが無音、パワーコンディショナの動作音はごくわずか
騒音については、太陽光パネル自体は無音です。パワーコンディショナの動作音はごくわずかであり、日常的に気になるレベルではないとされています。
ただしパワーコンディショナの稼働音は、機種や出力規模、設置環境によって差が大きく、一律の数値でお伝えすることは適切ではありません。
機種や設置場所によって稼働音の影響が異なるため、設計段階で確認することが重要です。太陽光発電の設計とは何なのかは太陽光発電の「Engineering(設計)」とは何なのか?で解説しています。
周辺環境への影響と、設置場所の選び方
設置場所や製品の種類にもよりますが、多くの事例で電磁波や騒音に関するクレームは見受けられないのが現状です。気になる場合は、防音性の高い設置場所を選ぶなどの対策を講じることもできます。
また、騒音や電磁波は、実際の大きさよりも「心理的な印象」によって不快に感じられるケースもあります。「気になり始めると、ますます気になる」といった心理的な要因による反応も考えられます。完全に音や電磁波がゼロというわけではないため、設置場所や製品の選定では、周辺の環境もあわせて検討します。
設置する屋根の条件によって選べる設置場所は変わります。屋根の形状と設置の関係は屋根上太陽光発電設備の設置 | “形状が重要?”埼玉県の事例から分かる“向いていない”屋根とは?で解説しています。
現場担当者の視点(事業部長 折原への取材より)
――太陽光発電の工事では、特別に大きな音が出るのでしょうか?
太陽光発電だから特別に大きな音が出るということはなく、一般的な建築工事と同様に、工具の作動音や振動が一時的に発生します。
――工事中の音について、周辺から要望があった場合はどう対応していますか?
たとえば、屋根に金具やパネルを固定する際に使用するインパクトドライバーでは、ある程度大きな音が発生します。そのため、「業務のピーク時間帯を避けてほしい」といったご要望があれば、事前に調整して作業時間を変更するなど、柔軟に対応しています。
――夜間の作業や、近隣への事前の説明はどうしていますか?
また、夜間に作業を行うことは原則としてありません。工事前には、近隣の方への事前説明や挨拶を行い、理解とご協力を得たうえで工事を進めるようにしています。
恒電社では、工事前に近隣の方への事前説明や挨拶を行っています。作業時間帯についてご要望がある場合は、事前に調整し、作業時間を変更するなど柔軟に対応することで、周囲への影響を最小限に抑えています。
解説者
折原 恭平
インタビュアー
原澤耀
2022年から恒電社のマーケティングも担当し、電気や太陽光発電のことを、各関連分野のエキスパートに直接ヒアリングをしながら、できる限り分かりやすい表現と専門的な視点の両立を重視した情報発信に取り組んでいる。
よくある質問(FAQ)
Q1. パワーコンディショナの騒音値は、どこで確認できますか?
メーカーカタログに記載の騒音値をご確認ください。設置予定地の環境によっても影響は変わるため、導入をご検討の際は、環境に応じた影響を個別にご確認いただくことをおすすめします。
Q2. 太陽光パネルの設置は、建物の外観にも影響しますか?
電磁波や騒音とは別の観点になります。外観やデザイン性への影響は太陽光パネルの設置によって、建物の外観やデザイン性に影響が出ることはあるのかで解説しています。
Q3. 施工期間中、工場や事業所の通常業務に支障は出ますか?
工事に伴う工具の作動音や振動は一時的なものです。業務のピーク時間帯を避けたいといったご要望がある場合は、事前に調整し、作業時間を変更するなど柔軟に対応しています。施工期間中の通常業務への影響は太陽光発電設備の施工期間中に、工場や事業所の通常業務に支障が出ることはあるのかで解説しています。
雷・台風・地震などへの備えは、設置方法と施工品質でほぼ決まります。リスクを設計にどう織り込むか、気になる点からご相談いただけます。
この記事を書いた人
岩見啓明

