A. 屋根上の太陽光パネルの架台は、NEDOのガイドラインで「稀に起こる地震」に対する許容応力度設計が基本とされ、設計用の地震荷重もJIS C 8955に準じて算出します。ただし、地震で屋根が損傷し、パネルが脱落したり、脱落に伴って破損したりして、漏電するおそれもあり、その場合は感電の危険があるため、近づかず速やかに選任されている電気主任技術者や保安管理担当者、施工・保守事業者、または恒電社までご連絡ください。
判断の要点
- 架台(太陽光パネルを屋根に固定する金属の台)は、NEDOのガイドラインで「稀に起こる地震・暴風・大雪に対して許容応力度設計を行うことを基本とする」とされています。設計用の地震荷重はJIS C 8955に準じて算出します
- ただし、地震で屋根が損傷すると、太陽光パネルが脱落したり、脱落に伴って破損したりする可能性はゼロとはいえません
- 停電時の自立運転や非常用負荷への給電に対応した構成であれば、日中に太陽光で発電した電力を非常用電源として活用できる場合があります。ただし、利用できる範囲や出力は設備構成によって異なります
- 備えの起点は、現在の保険で太陽光設備自体の損害と第三者への賠償責任が補償されるかを確認することです。加入や補償内容の判断はお客様ご自身で行っていただきます
- 地震のあとにパネルの破損が疑われる場合は、近づかず、選任されている電気主任技術者や保安管理担当者、施工・保守事業者、または恒電社へご連絡ください
NEDOガイドラインが示す架台の耐震設計
太陽光パネルは、架台(パネルを屋根に固定する金属の台)を介して屋根に固定します。NEDOの2025年版ガイドラインでは、電気事業法および建築基準法上の構造要件を満たすことを前提として、架台・基礎・部材間の接合部について、稀に起こる地震・暴風・大雪に対する許容応力度設計を行うことが基本とされています。設計の考え方はNEDO「建物設置型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン(2025年版)」で示されており、設計用の地震荷重は、設備の固定荷重に水平震度と地震地域係数を掛けて算定します。多雪区域では積雪荷重も考慮します(JIS C 8955:2017)。
一方で、地震による設備側のリスクがゼロになるわけではありません。同ガイドラインには、地震で住宅の屋根が損傷し、それに伴って太陽光モジュールが脱落した被害事例も掲載されています。このため、架台の設計だけでなく、設置先となる屋根の損傷にも注意が必要です。
屋根の形状や状態による向き不向きは屋根上太陽光発電設備の設置と屋根形状の関係を解説した記事でも取り上げています。
停電時に非常用電源として使える条件
地震などで停電した場合、停電時の自立運転や非常用負荷への給電に対応し、必要な出力・切替設備などを備えた構成であれば、日中に太陽光で発電した電力を事務室など一部設備の非常用電源として活用できる場合があります。照明や通信機器など、非常時に給電する負荷をあらかじめ定めておくことで、BCP(事業継続計画)に活用できる場合があります。
ただし、この効果には前提があります。停電時に発電した電気をそのまま使えるとは限らず、使えるかどうかは設備の構成によって変わります。停電時の利用を想定した構成になっているかは、導入時に確認が必要です。蓄電池を備えていない構成では、原則として活用できるのは日中に発電している電力です。自社の設備が停電時に使えるかどうかは、発電した電気を停電時に使えるかを解説したFAQでご確認ください。
自家消費型太陽光発電そのものの仕組みは自家消費型太陽光発電の基礎を解説した記事で整理しています。
相談としてよく聞く破損原因は雹(ひょう)
現在のところ相談としてよく聞くのは「雹(ひょう)」による被害です。強い雹が降ったことでパネルが割れてしまったという事例が確認されています。
厳密には天災ではありませんが、カラスが石を落とすなどしてパネルを破損させてしまうという報告もあります。破損した場合の対応の考え方は太陽光パネルが破損した場合の対応で解説しています。
原因が地震であれ雹であれ、破損や汚れを早期に発見し、適切な対策を講じるためには、定期的な保守点検メンテナンスを行うことが大切です。点検の頻度と費用の目安は太陽光発電設備のメンテナンス頻度と費用をご覧ください。
備えは、設備自体の損害と第三者への賠償を分けて確認する
導入にあたっては、万が一の事故や自然災害に備えた保険の見直しをご案内しています。備えを検討する際は、現在の保険で太陽光設備自体の損害が補償されるか、また第三者への法律上の賠償責任を補償する契約があるかを、保険会社または代理店へ確認してください。地震による損害の取扱い、特約の有無・名称・補償条件は、商品によって異なります。
| 備えの手段 | 想定する場面 |
|---|---|
| 設備自体の損害への備え(火災保険など) | パネルの破損など、設備そのものが損害を受けた場合 |
| 地震による損害への備え(商品により取扱いが異なる) | 地震を原因とする損害に備える場合 |
| 第三者への賠償への備え(施設賠償責任保険など) | 強風でパネルが飛び、第三者に損害を与えてしまった場合 |
表のとおり、設備そのものの損害と第三者への賠償では、必要となる補償の種類や確認点が異なります。強風でパネルが飛ぶ可能性そのものについては太陽光パネルが強風で飛ばされる可能性についての解説で扱っています。
ただし、これらの保険の加入や補償内容の見直しについては、あくまでお客様ご自身でご判断いただく部分です。恒電社が特定の保険商品を斡旋したり、保険契約に関与したりすることは行っておりません。設備の設置が建物の耐用年数や保険料に与える影響は設置が建物の耐用年数や保険料に影響するかを解説したFAQで整理しています。
地震が起きた直後にすべきこと・してはいけないこと
地震や雹などでパネルが割れた場合は感電のリスクがあるため、自己判断で近づかないことが最優先です。破損していた場合は漏電のリスクがあるため、無理に近づいたり触ったりしないでください。
ご連絡先は、選任されている電気主任技術者や保安管理担当者、施工・保守事業者、または恒電社です。電気主任技術者が選任されている設備では、保安管理は電気主任技術者の業務です。恒電社はO&M(監視・点検・洗浄・リパワリング)を担う立場として、ご連絡を受けたうえで設備の安全を確認し、必要な点検や復旧作業に対応します。
被災した太陽光発電設備の感電防止に関する注意点は、経済産業省「自然災害による再エネ発電設備の事故防止及び保安管理の徹底」でも解説されています。
現場担当者の視点(事業部長 折原への取材より)
――停電が長引いたとき、太陽光発電が実際に役立った例はありますか?
実際、屋根に設置された太陽光設備が停電時でも工場内の事務室を稼働させることを可能にし、早期復旧の支えになったという事例もあります。
――雹でパネルが割れた設備について、どのようなご相談が寄せられますか?
このような被害は、恒電社が直接施工したお客様ではないのですが、他社が設置した設備が破損してしまい、「恒電社さんで交換してもらえませんか?」というご相談をいただくことがありました。
――地震が起きたあと、お客様がまずすべきことは何ですか?
まず最初にお願いしたいのは「近寄らないでください」ということです。
恒電社は、自家消費型太陽光発電の設計・調達・施工と、導入後のO&M(監視・点検・洗浄・リパワリング)を担っています。他社が施工した設備の破損についても、交換のご相談をいただくことがあります。
解説者
折原 恭平
インタビュアー
原澤耀
2022年から恒電社のマーケティングも担当し、電気や太陽光発電のことを、各関連分野のエキスパートに直接ヒアリングをしながら、できる限り分かりやすい表現と専門的な視点の両立を重視した情報発信に取り組んでいる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 異常を見つけたとき、自分で電源を遮断してもよいですか?
異常を発見した際には、電源遮断の措置も検討する必要があります。ただしパネルが破損している場合は周囲に感電のリスクがあるため、設備に近づいての作業は避けてください。措置の要否と手順は設備の状況によって変わるため、選任されている電気主任技術者や保安管理担当者、施工・保守事業者、または恒電社にご連絡のうえでご判断ください。
Q2. 鳥の糞などの汚れも発電量に影響しますか?
直接的な破損ではないものの、鳥の糞が原因でパネルが汚れてしまうという事例もあります。太陽光パネルは一部でも影ができると発電効率が落ちるため、汚れによる影の発生にも注意が必要です。日常的な観察と定期点検で早期に見つけ、洗浄などで取り除くことが有効です。
Q3. 火災保険に地震を対象とした特約は付けたほうがよいですか?
建物の運用方針やお客様の考え方によって変わるため、一律の答えはありません。設備の重要度や事業継続の優先順位によっても判断は異なります。まずは現在の火災保険の補償範囲に太陽光設備が含まれているかを確認し、含まれていない場合は追加の可否を保険会社様にご確認ください。
この記事を書いた人
岩見啓明

