A. 太陽光パネルの架台は建築基準法・JIS規格に基づく構造計算により、大規模地震を想定した耐震設計がなされているのが一般的です。ただし万一パネルが破損・漏電した場合は感電の危険があるため、近づかず速やかに電気主任技術者または恒電社までご連絡ください。
判断の要点
- 架台(太陽光パネルを屋根に固定する金属の台)は、建築基準法・JIS規格に基づく構造計算により、大規模地震を想定した耐震設計がなされているのが一般的です
- ただし東日本大震災のような大規模地震の揺れで屋根全体がねじれたり変形したりすると、太陽光パネルが割れる可能性もゼロとはいえません
- 停電が長期化した際は日中の自家発電を非常用電源として活用できますが、停電時に電気を使えるかどうかは設備の構成によって変わります
- 備えの起点は、建物の火災保険への太陽光設備の追加と、施設賠償責任保険の2つです。加入や補償内容の判断はお客様ご自身で行っていただきます
- 地震のあとにパネルの破損が疑われる場合は、近づかず、電気主任技術者または恒電社へご連絡ください
架台の耐震設計はどのように担保されているのか
太陽光パネルは、架台(パネルを屋根に固定する金属の台)を介して屋根に固定します。この架台は建築基準法・JIS規格に基づく構造計算により、大規模地震を想定した耐震設計がなされているのが一般的です。架台の構造計算基準は、NEDO「建物設置型太陽光発電システムの設計・施工ガイドライン(2025年版)」でも解説されています。
一方で、地震による設備側のリスクがゼロになるわけではありません。たとえば東日本大震災のような大規模地震の揺れによって屋根全体がねじれたり、変形したりすることで、太陽光パネルが割れる可能性もゼロとはいえません。
屋根の形状や状態による向き不向きは屋根上太陽光発電設備の設置と屋根形状の関係を解説した記事でも取り上げています。
停電時に非常用電源として使える条件
地震などによる停電リスクが高い日本では、屋根上に自家消費型太陽光発電を設置することで、工場の稼働停止の可能性の軽減が期待できます。日中の自家発電が非常用電源となり、生産設備を維持するための電力供給に役立ち、早期復旧につながります。災害時の電力コスト抑制や、従業員の安全確保につながる点も、BCP(事業継続計画)上の効果として挙げられます。
ただし、この効果には前提があります。停電時に発電した電気をそのまま使えるとは限らず、使えるかどうかは設備の構成によって変わります。停電時の利用を想定した構成になっているかは、導入時に確認が必要です。活用できるのも日中の発電分です。自社の設備が停電時に使えるかどうかは、発電した電気を停電時に使えるかを解説したFAQでご確認ください。
自家消費型太陽光発電そのものの仕組みは自家消費型太陽光発電の基礎を解説した記事で整理しています。
相談としてよく聞く破損原因は雹(ひょう)
現在のところ相談としてよく聞くのは「雹(ひょう)」による被害です。強い雹が降ったことでパネルが割れてしまったという事例が確認されています。
厳密には天災ではありませんが、カラスが石を落とすなどしてパネルを破損させてしまうという報告もあります。破損した場合の対応の考え方は太陽光パネルが破損した場合の対応で解説しています。
原因が地震であれ雹であれ、破損や汚れを早期に発見し、適切な対策を講じるためには、定期的な保守点検メンテナンスを行うことが大切です。点検の頻度と費用の目安は太陽光発電設備のメンテナンス頻度と費用をご覧ください。
備えは火災保険への設備追加と施設賠償責任保険の2本立て
導入にあたっては、万が一の事故や自然災害に備えた保険の見直しをご案内しています。実務上の起点は、すでに加入している建物の火災保険に太陽光設備を対象として追加することと、施設賠償責任保険への加入の2つです。後者は、たとえば強風で太陽光パネルが飛んで第三者に損害を与えてしまった場合に備えるものです。
| 備えの手段 | 想定する場面 |
|---|---|
| 火災保険への太陽光設備の追加 | パネルの破損など、設備そのものが損害を受けた場合 |
| 地震を対象とした特約 | 地震を原因とする損害に備える場合 |
| 施設賠償責任保険 | 強風でパネルが飛び、第三者に損害を与えてしまった場合 |
表のとおり、設備そのものの損害と第三者への賠償は別の備えであり、想定する場面が異なります。強風でパネルが飛ぶ可能性そのものについては太陽光パネルが強風で飛ばされる可能性についての解説で扱っています。
ただし、これらの保険の加入や補償内容の見直しについては、あくまでお客様ご自身でご判断いただく部分です。恒電社が特定の保険商品を斡旋したり、保険契約に関与したりすることは行っておりません。設備の設置が建物の耐用年数や保険料に与える影響は設置が建物の耐用年数や保険料に影響するかを解説したFAQで整理しています。
地震が起きた直後にすべきこと・してはいけないこと
地震や雹などでパネルが割れた場合は感電のリスクがあるため、自己判断で近づかないことが最優先です。破損していた場合は漏電のリスクがあるため、無理に近づいたり触ったりしないでください。
ご連絡先は、電気主任技術者または恒電社です。保安管理は電気主任技術者の業務です。恒電社はO&M(監視・点検・洗浄・リパワリング)を担う立場として、ご連絡を受けたうえで設備の安全を確認し、必要な点検や復旧作業に対応します。
被災した太陽光発電設備の感電防止に関する注意点は、経済産業省「自然災害による再エネ発電設備の事故防止及び保安管理の徹底」でも解説されています。
現場担当者の視点(事業部長 折原への取材より)
――停電が長引いたとき、太陽光発電が実際に役立った例はありますか?
実際、屋根に設置された太陽光設備が停電時でも工場内の事務室を稼働させることを可能にし、早期復旧の支えになったという事例もあります。
――雹でパネルが割れた設備について、どのようなご相談が寄せられますか?
このような被害は、恒電社が直接施工したお客様ではないのですが、他社が設置した設備が破損してしまい、「恒電社さんで交換してもらえませんか?」というご相談をいただくことがありました。
――地震が起きたあと、お客様がまずすべきことは何ですか?
まず最初にお願いしたいのは「近寄らないでください」ということです。
恒電社は、自家消費型太陽光発電の設計・調達・施工と、導入後のO&M(監視・点検・洗浄・リパワリング)を担っています。他社が施工した設備の破損についても、交換のご相談をいただくことがあります。
解説者
折原 恭平
インタビュアー
原澤耀
2022年から恒電社のマーケティングも担当し、電気や太陽光発電のことを、各関連分野のエキスパートに直接ヒアリングをしながら、できる限り分かりやすい表現と専門的な視点の両立を重視した情報発信に取り組んでいる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 異常を見つけたとき、自分で電源を遮断してもよいですか?
異常を発見した際には、電源遮断の措置も検討する必要があります。ただしパネルが破損している場合は周囲に感電のリスクがあるため、設備に近づいての作業は避けてください。措置の要否と手順は設備の状況によって変わるため、電気主任技術者または恒電社にご連絡のうえでご判断ください。
Q2. 鳥の糞などの汚れも発電量に影響しますか?
直接的な破損ではないものの、鳥の糞が原因でパネルが汚れてしまうという事例もあります。太陽光パネルは一部でも影ができると発電効率が落ちるため、汚れによる影の発生にも注意が必要です。日常的な観察と定期点検で早期に見つけ、洗浄などで取り除くことが有効です。
Q3. 火災保険に地震を対象とした特約は付けたほうがよいですか?
建物の運用方針やお客様の考え方によって変わるため、一律の答えはありません。設備の重要度や事業継続の優先順位によっても判断は異なります。まずは現在の火災保険の補償範囲に太陽光設備が含まれているかを確認し、含まれていない場合は追加の可否を保険会社様にご確認ください。
この記事を書いた人
岩見啓明

