A. 業務に影響が出やすい主な工程は「電力系統にケーブルを接続する日の停電」と「クレーン作業の日」の2つで、停電は業務を行っていないタイミングでの約6時間が基本、冷凍倉庫や24時間稼働の倉庫では2〜3時間ずつに分割して実施します。
判断の要点
- 太陽光パネルの設置は基本的に屋根上で行うため、大きな騒音や長期間の停電が発生するケースは少なく、建物内の稼働エリアへの影響は限定的です
- 停電が必要なのは電力系統に太陽光発電のケーブルを接続する作業のためで、基本はお客様が出社しておらず、業務を行っていないタイミングでの約6時間です
- 冷凍倉庫がある施設では「2時間停電 → 1時間稼働 → 2時間停電」、24時間稼働の物流倉庫では1回の停電を3時間程度に制限して日を分けるなど、施設の特性に応じて分割するケースもあります
- 屋根上へパネルを揚げるため、大型のクレーン車を据え付ける日が必ず1日は発生し、従業員様の駐車場の一部やトラック搬入出の通路が一時的に使えなくなることがあります
工事中に業務へ影響が出るのは、どの工程か
施工期間中、工場や事業所の通常業務が長時間止まることは多くありません。一般的には、大きな騒音や長期間の停電が発生するケースは少ないためです。理由は作業場所にあります。太陽光パネルの設置は基本的に屋根の上で行うため、建物内の稼働エリアに大きな影響を与えることはあまりありません。
一方で、業務への影響が出やすい主な工程として、次の2つがあります。
- 電気系統の切り替え作業:電力系統の工事が必要な際には、短時間の停電が発生する場合があります。事前にスケジュールを調整し、業務への影響が最小限で済むように計画を立てます
- クレーン作業:屋根上へ資材を揚げるためにクレーン車を建物の近くに据え付ける日が発生し、設置位置によっては駐車場の一部や搬入出の通路が一時的に使えなくなることがあります
以下では、この2つについて「何時間・どの範囲が止まるのか」と「日程をどう決めるのか」を順に説明します。
なぜ工事中に停電が必要になるのか
自家消費型太陽光発電では、電力会社から供給されている既存の電気系統に、太陽光発電のケーブルを接続する必要があります。この接続作業は、接続箇所に電気が流れていない「非活線状態(停電状態)」でなければ行えません。電気が流れている「活線状態」のまま作業すると、感電や火花による重大な事故のリスクがあるためです。
接続作業は主にキュービクル内で行われます。そのため、キュービクルに立ち入る段階で電気を完全に遮断した状態にします。停電は工事を早く終わらせるための都合ではなく、安全を確保するための必須条件です。
停電は何時間、いつ実施するのか
基本となるのは、お客様が出社しておらず、業務を行っていないタイミングでの約6時間の停電です。このタイミングにまとめて実施することで、通常業務への影響を抑えて接続作業を行います。
ただし、この約6時間はあくまで基本的な進め方です。施設の使い方によっては、6時間続けて電気を止めること自体が業務上難しい場合があります。その場合は、次に説明するように停電を分割します。
施設の特性に応じて停電を分割する
停電中も温度管理が必要な施設や、24時間稼働している施設では、1回の停電時間を短くし、その分だけ回数や日数を増やす形で調整します。
| 施設の例 | 停電の組み方 |
|---|---|
| 冷凍倉庫がある施設 | 停電中の温度上昇を防ぐため、2時間停電した後に作業を中断し、1時間冷凍庫を稼働させて温度を下げ、再び2時間停電する形で複数回に分けるケースもあります |
| 24時間稼働の物流倉庫 | トラックが24時間荷物の出し入れを行うため、1回の停電を3時間程度に制限し、作業を2日間に分けて進めることもあります |
この表からは、1回あたりの停電時間を施設が止められる長さに合わせて短くし、その分を回数や日数で吸収しているという共通点が読み取れます。停電を分割する場合、停電の回数を増やしたり、作業を複数日に分けたりすることがあります。製氷と倉庫事業を手がける企業の導入例は武州製氷株式会社様が自家消費型太陽光発電を導入した導入事例をご覧ください。
クレーン作業の日に使えなくなる場所
停電と並んで業務に影響しやすいのが、大型機材の搬入・設置です。太陽光パネルを屋根の上に設置する際には、必ず1日は、大型のクレーン車やラフタークレーンを建物の近くに据え付けて作業を行う日が発生します。

建物のすぐ脇にクレーン車を据え付け、屋根上へ資材を吊り上げていることが読み取れます。この形で作業するため、当日は建物際のスペースが作業に使われます。
クレーンを据え付ける関係で、当日は次の場所が一時的に使えなくなることがあります。
- 従業員様の駐車場の一部(クレーンの据え付けスペースとして一時的に使用します)
- トラック搬入出の通路(クレーンの設置位置によっては塞いでしまうことがあります)
停電が「電気を止める時間」の調整であるのに対し、クレーン作業は「敷地の使える範囲」の調整です。どちらも当日になって分かると対応が難しいため、作業範囲まで含めて事前に共有します。
停電とクレーン作業の日程はどう決まるのか
停電のスケジュールは、お客様の業務内容に応じて毎回打ち合わせを行って調整します。事前のヒアリングを重ねた上で恒電社から停電スケジュールをご提案し、最終的にお客様と協議して決定します。
クレーン作業も同じ進め方です。「この日のこの時間帯にクレーン作業を予定したいのですが、ご都合いかがでしょうか」という形で、日程と作業範囲の調整を進めます。施設の稼働状況によっては、特定の時間帯だけ搬入出を止めていただくよう、お客様側の調整をお願いする場合もあります。業種ごとの工事スケジュールの違いは業種によって、太陽光発電設備の工事スケジュールにはどのような違いがあるのかで解説しています。
現場担当者の視点(事業部長 折原への取材より)
――なぜ、作業中に停電が必要なのでしょうか?
この作業を安全に行うためには、接続箇所に電気が流れていない「非活線状態(停電状態)」にすることが絶対条件です。電気が流れている「活線状態」での作業は、感電や火花による重大な事故のリスクがあるため、必ず停電してから行います。
――24時間稼働している物流倉庫では、停電をどう組むのですか?
たとえば24時間稼働する物流倉庫の場合、トラックが24時間荷物の出し入れを行うため、1回の停電を3時間程度に制限し、日を分けて工事を進めたりもします。その場合、当社より「この3時間だけはトラックが来ないように調整してください」とお願いしています。
――クレーン作業の日は、現場のどこが使えなくなりますか?
この作業では、クレーンを設置する関係で、従業員様の駐車場の一部を一時的に使用したり、トラック搬入出の通路を塞いでしまうことがあるため、お客様の業務に影響を与えやすい工程のひとつです。
恒電社では、EPC事業者として施工スケジュールや作業内容を事前に共有し、お客様の通常業務と電気工事を両立できるよう調整しています。
解説者
折原 恭平
インタビュアー
原澤耀
2022年から恒電社のマーケティングも担当し、電気や太陽光発電のことを、各関連分野のエキスパートに直接ヒアリングをしながら、できる限り分かりやすい表現と専門的な視点の両立を重視した情報発信に取り組んでいる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 工事全体では、どれくらいの期間がかかりますか?
本記事で扱っているのは、停電とクレーン作業という業務に影響が出る工程の話です。発注から設置完了までの工期全体の目安は太陽光発電設備の設置にかかる期間のFAQで解説しています。
Q2. 日程を決めるにあたり、お客様側から伝えておくことはありますか?
業務上の制約や搬入出の時間帯などを事前のヒアリングで共有いただき、日程を協議して決定します。発注前に準備できることは太陽光発電設備をスムーズに導入するために、発注前に準備すべきことは?で解説しています。
Q3. 工期そのものが延びる要因には、どのようなものがありますか?
停電やクレーン作業の日程調整とは別に、工期の長さを左右する要因があります。詳しくは工期に影響する要因のFAQで解説しています。
この記事を書いた人
岩見啓明
「うちの屋根に載せられるのか」への答えは、屋根の構造・築年数・耐荷重で変わります。設置可否の見立てや構造確認の進め方など、設計段階の疑問からご相談いただけます。

