A. 電気使用量の明細・建物や屋根の図面・予算と導入目的・社内の調整体制の4つが整理されていると、検討から設計・申請、施工までの流れが効率的に進みます。すべてが揃っていなくてもご相談いただけます。
判断の要点
- 過去1年分程度の電力使用量や電気料金の明細をご用意いただくと、施工会社(EPC事業者)が最適なシステム容量を設計する際に役立ちます
- 過去1年分の30分値データ(電力会社から提供される30分ごとの電力使用実績データ・1日48コマ)があると、電気代削減効果の試算精度が上がります
- 建築図面がない場合も対応可能で、調査会社や建築士のご紹介ができます。ただし調査の実施有無・範囲・費用のご負担と導入可否の最終判断は、お客様ご自身の責任のもとでのご対応となります
- 施工は四つのパートに分けて一週間ずつ(計四週間)が基本です。工程の順番を入れ替えやすいため、天候不良や前工程の遅れが出てもスケジュールを調整できます
発注前に整理しておくと早い4つの情報
ご検討から発注までの流れをなるべく短くするために、発注前に整理しておくと役立つ情報は次の4つです。
- 電気使用量や契約状況の把握:過去1年分程度の電力使用量や電気料金の明細をご用意いただくと、施工会社(EPC事業者)が最適なシステム容量を設計する際に役立ちます
- 建物や屋根の図面・資料:屋根や建物の構造に関する資料があると、初期検討や設計がスムーズです
- 予算や導入目的の明確化:「どの程度の電力を自家消費したいか」「初期投資の目安はどれくらいか」など、導入目的が明確になっていると、より的確な提案が可能です
- 社内の調整体制:工事スケジュールや停電作業の調整などをスムーズに進めるために、社内での意思決定ルートを明確にしておくこともスピーディな導入につながります
これらの情報が整っていれば、施工会社(EPC事業者)との打ち合わせがスムーズに進み、結果的に設置完了までの期間を短縮できます。施工会社を選ぶ視点はお客様が業者を選ぶ“本当”の理由とは?で紹介しています。
30分値データがあると電気代削減効果の試算精度が上がる
30分値データとは、電力会社から提供される30分ごとの電力使用実績データ(1日48コマ)のことです。過去1年分の30分値データをご提供いただけると、発電シミュレーションとの照合により、より精度の高い電気代削減効果の試算が可能になります。
導入目的については、「高騰する電気料金の削減」や「CO2排出量の削減」といった大まかなニーズを整理していただければ十分です。一方で「いくら電気料金を削減したいか」「どの程度自家消費したいか」といった具体的な数値は、多くのお客様にとってイメージしにくいものです。恒電社では現在ご利用されている電気量に応じた提案を行っているため、電気料金の明細をご用意いただければ、提案までの時間を短縮できます。
明細をもとにした試算の考え方は自家消費型太陽光発電でどれくらい電気代を削減できるのかで解説しています。
図面や資料が揃っていない場合の進め方
新築で自社が建てた建物であれば図面が残っていることが多い一方、中古で取得した建物では図面がないケースもあります。そのような場合、恒電社では信頼できる調査会社や建築士のご紹介が可能で、構造計算や荷重計算についても間接的にサポートしています。
ただし、調査の実施有無や範囲の決定、それに伴う費用のご負担、さらに調査結果を踏まえた太陽光発電の導入可否の最終判断については、お客様ご自身の責任のもとご対応いただく必要があります。
屋根の強度や設置スペースの違いは業種や建物の用途による屋根の強度・設置スペースの違い、導入前に必要な申請は太陽光発電設備の導入前に必要な「申請」とは何かで解説しています。新設倉庫への導入例は八千代紡織株式会社様が新設倉庫に自家消費型太陽光発電を導入した事例をご覧ください。
工程を入れ替えられるため、遅れが出ても納期を維持できる
太陽光発電の工事はいくつかの大きな工程に分かれており、一般的な建築工事とは異なり、各工程の順番を柔軟に入れ替えしやすいという特徴があります。ある工程に遅れが出たとしても、後続の別の工程を先に進めることでスケジュールを調整できます。工程を組み替えられるため、一部に遅れが出ても全体の納期に影響を与えにくい施工体制です。
遅れの原因として最も多いのは、天候不良が続き、太陽光パネルの設置が完了しないケースです。太陽光で発電された電気は、次の順序で送られます。
- 太陽光パネル
- パワーコンディショナ
- トランス
- キュービクル
この電気的なルートを構築する工事は、順番に縛られずに進めることができます。非活線状態(電気が流れないように)にしておけば、極端な話、すべて同時に施工することも可能です。
取材時点で、恒電社が納期を守れなかった事例はありません。工期が変動する要因は太陽光発電設備の「工期」に影響を与える要因で解説しています。
工期を左右するのは人手:四工程×一週間が基本
工程の順番を入れ替える際に、より重要になるポイントは「十分な人手が確保できるか」です。
通常、施工は四つのパートに分けて、一週間ずつ(計四週間)かけて順番に進めていきます。十分な人員体制が整っていれば、これらのパートを同時進行で実施し、最短1週間で完了させることも“理論上”は可能です。
期間全体の目安は発注から設置完了までに要する期間で解説しています。
停電工事の日程は前倒ししにくい
四つのパートのうち、一つひとつの作業工程が短縮されることは十分にあります。例えば太陽光パネルの設置工程では、天候不良を想定してあらかじめ数日分の予備日を組み込んでいるため、天気が崩れなければその分作業を早めに完了させることができます。
ただし、個々の工程が短縮できても、全体のスケジュールが前倒しになるとは限りません。「停電工事の日程は事前に確定していること」がほとんどだからです。停電作業は工場・設備の製造に直接的に影響を及ぼすため、お客様の稼働スケジュール、ご担当者様のご都合、施工業者のリソースなどに合わせて慎重に日程調整しています。
他の工程が前倒しで終わっても、停電日そのものを前倒しすることは現実的には難しく、結果的にスケジュール通りに着実に進行することがほとんどです。施工期間中の業務への影響は施工期間中に工場や事業所の通常業務に支障が出ることはあるのかで解説しています。
現場担当者の視点(事業部長 折原への取材より)
――資料が完全に揃っていない段階でも、相談してよいのでしょうか?
実際、恒電社で手がけているプロジェクトの半分以上は、建築図面などの資料が完全には揃っていない状態からスタートしています。「準備が整っていないから相談しにくいかも…」と感じる必要はまったくございませんので、どうぞご安心ください。
――前の工程が遅れているとき、どの工事を先に進めるのですか?
たとえば、パワーコンディショナの設置や、停電を伴う工事などは、パネル設置とは独立して進行できるため、工程の順序に厳密にとらわれる必要はありません。実際には、着工と同時に停電工事からスタートするといったケースもあります。
――人手を集めて同時に進める方法は、実際に採用しているのですか?
ただし、こうした短期集中型の進め方には注意点もあります。一つの作業でトラブルが発生すると、全体に影響が及ぶリスクが高くなるため、一般的には安全性と安定性を重視し、順番に進める方法を採用しています。
恒電社では、資料が揃っていない段階からのご相談にも対応し、工程を組み替えながらスケジュールを調整する体制で施工にあたっています。
解説者
折原 恭平
インタビュアー
原澤耀
2022年から恒電社のマーケティングも担当し、電気や太陽光発電のことを、各関連分野のエキスパートに直接ヒアリングをしながら、できる限り分かりやすい表現と専門的な視点の両立を重視した情報発信に取り組んでいる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 電気料金の明細と30分値データは、どちらを用意すればよいですか?
用途が異なります。電力使用量や電気料金の明細は最適なシステム容量の設計に、過去1年分の30分値データは発電シミュレーションとの照合による電気代削減効果の試算に使います。どちらもご用意いただける範囲で構いません。
Q2. 最短1週間での施工は、依頼すれば選べますか?
四つのパートを同時進行させる進め方は“理論上”の想定で、実際に選べるかどうかは人員体制などの条件によります。具体的な工期は案件ごとに施工会社へご確認ください。条件が揃った場合の進み方は太陽光発電設備の設置が最短で完了するための条件で解説しています。
Q3. 発注前の準備として、社内では何を決めておくとよいですか?
工事スケジュールや停電作業の調整をスムーズに進めるために、社内での意思決定ルートを明確にしておくとスピーディな導入につながります。業種による工事スケジュールの違いは業種による太陽光発電設備の工事スケジュールの違いで解説しています。
この記事を書いた人
岩見啓明
「うちの屋根に載せられるのか」への答えは、屋根の構造・築年数・耐荷重で変わります。設置可否の見立てや構造確認の進め方など、設計段階の疑問からご相談いただけます。

