自家消費型太陽光発電を導入した場合、実際にどれくらい電気代を削減できるのか?

A. 削減額は「設置可能容量 × 自家消費率 × 電気料金単価」の掛け算で決まり、同じ設備でも導入先の電力の使い方によって変動します。

判断の要点

  • 削減額を決めるのは①屋根に載せられる設置可能容量、②発電した電気を自社で使えた割合(自家消費率)、③現在の電気料金単価の3つ
  • ②の自家消費率は、発電量シミュレーションと過去1年分の30分値(デマンドデータ)を重ね合わせて算出する
  • 工場・倉庫・マンションビルなど用途によって電力の使い方が異なるため、見込まれる自家消費率と削減額も変わる
  • 使用量が発電量を上回っている限り自家消費率は100%に近く、製造ラインが1〜2本増減しても削減効果は大きく動かないことがほとんど

電気代の削減額は「設置可能容量 × 自家消費率 × 電気料金単価」で決まる

自家消費型太陽光発電で削減できる電気代は、主に3つの要素の掛け算で決まります。①設置可能容量 × ②自家消費率 × ③電気料金単価が、電気代削減メリットの基本式です。

このうち②と③は導入先ごとに異なるため、「導入すれば年間いくら下がる」と一律の金額で示すことはできません。金額を知るには、自社の屋根・電力使用実績・単価を式に当てはめて試算する必要があります。削減額の事例は【電気代削減額の事例】法人向け自家消費型太陽光発電で、いくらコストカットできる?をご覧ください。

自家消費率は「発電量シミュレーション」と「30分値データ」を重ねて算出する

②の自家消費率の具体的な算出には、以下の2つのデータを用います。

  • 発電量シミュレーション:パネル設置後に年間どれくらい発電するかの予測値
  • 電力使用実績(デマンドデータ):過去1年分の30分単位の電力使用データ

30分値(デマンド値)とは、30分間の消費電力の平均値です。1時間に2コマずつ、1日(24時間)では48個のデマンド値が存在することとなります。この2つを重ねて照らし合わせることで、発電した電気のうち、実際にどれだけ建物内で使えるかを把握できます。

発電量のシミュレーションは、このように季節ごと・平日と休日ごとに30分刻みで並べて確認します。

なお、自家消費率はお客様の電力使用パターンによって大きく変わります。たとえば、土日にまったく電気を使わない場合は、発電しても使いきれず自家消費率が下がるため、削減効果も小さくなります。

試算の手順——航空写真での概算から金額ベースの提示まで

恒電社では、次の手順で電気代の削減見込みを試算しています。

  1. 航空写真で概算する:営業担当が航空写真をもとに建物の屋根形状を確認し、おおまかにどのくらいの太陽光パネルを設置できそうかを想定します。
  2. 初回のご提案:その概要をもとにご訪問し、仮の配置プランをご提示します。この段階では、実際の電力使用状況によって枚数が変わる余地があります。
  3. 30分値データのご提供:より正確なご提案のために、過去1年分の30分値データ(1日48コマの電力使用実績)のご提供をお願いしています。
  4. 発電量のシミュレーション:想定しているパネルの枚数で、1年間にどれだけ発電するかをシミュレーションソフトで算出します。365日分、1日あたり48コマの細かい時間軸で行うため、より実態に近い予測が可能です。
  5. 発電量と使用量の突き合わせ:同じ30分単位で整理した使用量と1コマずつ比較し、どの時間帯にどれだけ電気が余るか(または使いきれているか)を算出して、自家消費率と余剰電力量を数値化します。
  6. 金額への換算電気料金明細などの単価情報を掛け合わせ、どれくらい電気代を削減できる見込みがあるのかを金額ベースでご提示します。

工場、倉庫、ビルなど、設置先ごとに見込まれる電気代削減量は変わる

工場、倉庫、マンションビルなど、建物の用途によって電力の使い方が異なるため、見込まれる自家消費率もそれぞれ異なります。その結果、電気代削減額にも違いが出てきます。同じ「工場」であっても、土日が完全休業で電力使用量がほぼゼロになるような場合は、自家消費率は低くなります。関連して「業界ごとに異なる電力使用パターン」は、太陽光発電設備の設計にどのように影響するのか?【導入事例】武州製氷株式会社様が自家消費型太陽光発電を導入もあわせてご覧ください。

受発注の状況によって製造ラインの稼働量や電力消費が変動する場合も、営業担当がお客様からのヒアリングで稼働状況や今後の見通しを確認し、実際の30分値データに反映されている使用実績をもとに自家消費率を算出します。将来の稼働見込みをどう置くかは、お客様の判断が最も大きい要素になります。

一方で、稼働ケース別に削減額を細かく分けて提示するケースは多くありません。多くのお客様では、たとえ屋根いっぱいに太陽光パネルを設置しても、自家発電で電力需要をすべてカバーできるわけではないためです。使用量が発電量を上回っている限り、製造ラインが1〜2本増減しても、自家消費率や削減効果には大きな影響が出ないことがほとんどです。

削減額をさらに伸ばす運用——稼働時間を発電カーブに寄せる

太陽光発電の出力は、日の出から日没にかけて山型のカーブを描きます。一方で、製造業などの電力需要は「鯨型のカーブ」になることが多く、発電の山と需要の山がずれます。

比べる観点太陽光発電の出力製造業などの電力需要
カーブの形山型鯨型
立ち上がりたとえば朝6時半ごろ朝7〜8時ごろ
落ち着く時間帯18時ごろ夜まで続く

発電量が使用量を上回る時間帯には、使いきれない電力が生じ、自家消費率が下がる場合があります。

理論上は、発電時間に合わせて朝6時半から作業を開始し、18時までに終わらせる運用にすることで、自家消費率を最大化できます。ただし実際の運用は従業員の皆さんの働き方とも関わるため、朝6時から出勤して働くという形は、実務的に難しいケースが多くなります。

現場担当者の視点(施工管理担当の蛎崎への取材より)

――具体的なご提案の進め方を教えてください。

この段階では、「お客様の建物にはこれくらいの枚数のパネルが設置できそうです」といった仮の配置プランをご提示しつつ、「実際の電力使用状況によっては、この枚数では多すぎる可能性もあります」といった調整の余地も含めてお話ししています。

――使用量が発電量を上回っている場合、自家消費率はどうなりますか?

つまり、発電量よりも使用量が上回っている限りは、発電した電気はすべて自家消費され、自家消費率は常に100%に近い状態になるんです。

――自家消費率を高めるには、どうすればよいですか?

そのため、実際には「電力使用の時間帯を太陽光発電にできるだけ合わせていく」、つまり稼働スケジュールを調整することで、自家消費率を高めるといった工夫が現実的です。

恒電社では、航空写真をもとにした仮の配置プランの段階から調整の余地もあわせてお伝えし、実際の使用状況を踏まえたうえで、現実的な削減効果をご提案しています。

解説者

蛎崎 泰祐
株式会社恒電社 エネルギーマネジメント事業部

蛎崎 泰祐

新卒で独立系SIerに入社し、システムエンジニアとして13年間勤務。その後、当社へ入社し、現在は法人様向け太陽光発電システム設置工事の施工管理を担当しています。 設計から工事、お引渡しまで、形のないものを形にしてお客さまの課題を解決していく過程は、前職のシステムエンジニアとしての経験と通じています。多様なステークホルダーや仲間を巻き込み、プロジェクトを達成へ導くことにやりがいを感じています。 お客さまにとって「安心して任せられる存在」でありたいと考え、日々の業務に取り組んでいます。

インタビュアー

原澤耀
合同会社HARAFUJI

原澤耀

合同会社HARAFUJI・COO。マーケティングを中心に、企業の戦略および戦術支援事業に従事。
2022年から恒電社のマーケティングも担当し、電気や太陽光発電のことを、各関連分野のエキスパートに直接ヒアリングをしながら、できる限り分かりやすい表現と専門的な視点の両立を重視した情報発信に取り組んでいる。

よくある質問(FAQ)

Q1. 電気料金の単価が変わったら、削減額の見込みも変わりますか?

変わります。単価は計算式の③にあたるため、同じ発電量・同じ自家消費率でも、単価が上がれば削減額は大きくなり、下がれば小さくなります。試算は、電気料金明細などから確認した単価情報を前提とする見込みとしてご提示しています。単価そのものについては企業の電気料金の決まり方をご覧ください。

Q2. 稼働時間を動かせない場合、ほかに削減額を伸ばす手段はありますか?

余剰電力を蓄電池に貯めておいて、夜間など電力料金が高くなる時間帯に放電して使うという方法があります。こうした仕組みは「ピークカット」や「ピークシフト」と呼ばれており、特に電力コストの削減を重視する企業様から注目されています。余剰電力量についても、30分値による発電量と使用量の比較から確認できます。

Q3. 投資回収年数や導入方法の違いは、どこで確認できますか?

本記事で扱っているのは電気代の削減額の考え方までです。投資回収年数については自家消費型太陽光発電の「投資回収年数」は、どのように試算したら良いのか?をご覧ください。また、試算の前提となる自家消費型太陽光発電の仕組みや、導入方法ごとの違いは自家消費型太陽光発電とは?仕組み・メリットと注意点、3つの導入方法の解説で解説しています。

この記事を書いた人

Iwami
株式会社恒電社

岩見啓明

恒電社ではマーケティング(動画、記事、広報、企画、セミナー運営、デジタル広告)に加え、人事やインサイドセールスなど、事業部を横断して活動。個人では登録者数1万人超えのYouTubeチャンネルを運用した経験の他、SDGsの啓蒙活動で国連に表彰された経歴を持つ。2023年に二等無人航空機操縦士(ドローンの国家資格)、2024年に第二種電気工事士資格を取得。≫プロフィールはこちら

導入の投資対効果はどのぐらい?

  • 電気代
  • 投資対効果
  • CO2の削減

まずは 発電シミュレーション から

発電シミュレーションと
導入後の発電量の比較 例
業種
食品流通業
条件
導入時期:2023年3月
パネル枚数:345枚
設備容量:143.175kW
パネル設置面積:680㎡
屋根面積:3,710㎡
発電シミュレーションと導入後の発電量の比較グラフの例 発電シミュレーションと導入後の発電量の比較グラフの例
  • 法人向け自家消費型太陽光発電で、いくらコストカットできる?
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