オフサイトPPAとは?オンサイトPPAとの違い・費用の構造・向いている企業を解説【2026年最新】

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オフサイトPPA解説記事のサムネイル。「敷地の外から再エネを調達する オフサイトPPA」の文字と、野立て太陽光発電所から送電鉄塔を介して工場へ電気を送るイラスト

本稿の目的:オフサイトPPAの仕組みをオンサイトPPAとの違いに沿って整理し、ご自身の会社に合う調達方式かどうかを判断する材料を提供します。

結論:オフサイトPPAは、需要地から離れた場所にある再エネ電源を対象とするPPAです。代表的なフィジカルPPAでは、電力系統を介して電気と環境価値の供給を受けます。恒電社の考える脱炭素の4段階(省エネ→敷地内の自家消費→外部からの再エネ調達→環境価値の購入)では、オフサイトPPAは第3段階にあたります。需要場所の屋根や敷地の広さに直接制約されない一方、フィジカルPPAでは託送料金などの負担が加わるため、検討の順序としては、まず敷地内の自家消費でまかなえる分を確認してからが合理的です。

見落としがちなリスク:オフサイトPPAは代表的には「フィジカル」と「バーチャル」の2方式に分けられ、電気の届き方も費用の構造も大きく異なります。方式を区別しないまま比較すると、判断を誤るおそれがあります。

PPA(Power Purchase Agreement/電力購入契約)は、発電事業者と電気を使う企業などが結ぶ、電力の売買・購入に関する契約です。このうち、自社の屋根や敷地に設備を置く「オンサイトPPA」(一般に発電事業者が設備を設置・保有し、企業は契約に基づいて料金を支払う方式)が広く知られていますが、屋根の広さや建物の条件によっては、設置できる容量に限界があります。

そこで選択肢になるのが、需要地から離れた場所にある再エネ電源を対象とする「オフサイトPPA」です。あらかじめお伝えしたいのは、その位置づけです。恒電社では、脱炭素への取り組みを「外から環境価値を買う前に、まず使う電気と購入する電気を減らす」という4段階の順序で考えることをおすすめしており、オフサイトPPAは、省エネと敷地内の自家消費を確認したあとに検討する「第3段階」の選択肢です(順序の全体は記事の後半で説明します)。本記事では、環境省の解説資料に沿ってオフサイトPPAの仕組みを整理し、オンサイトPPAとの違い、費用の構造、どのような企業に向いているかを解説します。

オフサイトPPAとは──敷地の外の再エネ電源を活用する契約方式

環境省の解説資料「オフサイトコーポレートPPAについて」(2022年3月更新版)では、電力の実供給を伴うオフサイトコーポレートPPAについて、発電事業者と電力の購入者が事前に合意した価格・期間で売買契約を結び、需要地から離れた場所にある再エネ電源から一般の電力系統を介して供給を受ける方式が示されています。本稿では、これに後述のバーチャルPPAも含め、需要地から離れた再エネ電源を対象とするPPAを「オフサイトPPA」と総称します。

本稿では、企業などの需要家が再エネ発電事業者と結ぶPPAを「コーポレートPPA」と呼びます。発電設備を置く場所によって、大きく2つに分かれます。

  • オンサイトPPA:自社の屋根・敷地内に設備を設置し、電力系統を介さずにその場で電気を使う方式
  • オフサイトPPA:需要地から離れた再エネ電源を対象とする方式。電気の実供給を受けるフィジカルPPAと、環境価値のみの移転を受けるバーチャルPPAがあります
オンサイトPPAとオフサイトPPAの構造の違いを示す図。左はオンサイトPPAで、工場の屋根に太陽光パネルを設置しその場で電気を使う。右はオフサイトPPAの代表的な方式であるフィジカルPPAで、離れた場所の太陽光発電所から送配電網を介して工場へ電気を届ける

オンサイトPPAとの違い

オンサイトPPAと、オフサイトPPAの代表的な方式であるフィジカルPPA(後述)を比較すると次のとおりです。

比較項目オンサイトPPAオフサイトPPA(フィジカル)
発電場所自社の屋根・敷地内敷地の外の発電所
電気の届き方系統を介さずその場で使用送配電網を介して供給
導入できる規模屋根・敷地の広さに制約される需要場所の敷地面積に直接制約されない
費用の構造PPA料金が中心PPA料金に託送料金などが加わる
再エネ賦課金自家消費分にはかからない小売経由で供給を受ける電気にはかかる

最大の違いは、オンサイトPPAが屋根や敷地の広さに制約されるのに対し、オフサイトPPAは需要場所の敷地面積に直接制約されない点です。敷地内の設置だけでは不足する分を補える可能性がある一方、送配電網を使うことに伴う費用が上乗せされます(詳しくは後述します)。

なお、オンサイトPPA自体の契約条件(契約期間・中途解約・契約満了後の扱いなど)については、オンサイトPPAで契約前に押さえたい7つの重要ポイントで詳しく解説しています。

フィジカルPPAとバーチャルPPAの違い

環境省の解説資料では、オフサイトPPAは電気の受け取り方によって、代表的に次の2方式に整理されています。

フィジカルPPA──電気と環境価値の両方を受け取る

発電所でつくられた電気の実供給を受け、電気と環境価値(再エネ由来の電気であることの価値)をセットで受け取る方式です。契約・供給のスキームによっては小売電気事業者が介在します。環境省の資料では、取引価格に加えて託送料金(送配電網の利用料)の負担が必要と整理されています。

バーチャルPPA──環境価値のみを受け取る

電気そのものは自社に届かず、環境価値だけを受け取る方式です。電気は従来どおりの契約で購入し続けるため、追加的な託送料金の支払いは発生しません。取引は市場価格との差額を精算する形(差金決済)が基本となり、契約がデリバティブに該当するかなど、会計処理上の検討が必要になる場合があります。

フィジカルPPAとバーチャルPPAの違いを示す図。フィジカルPPAは、契約・供給スキームに応じて送配電網を介し、電気と環境価値が需要家へ供給される。バーチャルPPAは電気は市場へ売却され、環境価値のみが需要家に移転する

※バーチャルPPAの会計上の取り扱いは契約内容により異なります。導入をご検討の際は会計の専門家にご確認ください。

費用の構造──オンサイトPPAとの負担の違い

環境省の資料では、フィジカルPPAの調達コストは次の3つの要素で構成されると整理されています。

  1. 発電コスト:PPA契約価格そのもの
  2. 託送料金:送配電網を利用するための料金
  3. バランシングコスト等:発電量と使用量を一致させる(同時同量を保つ)ための調整費用

一方、オンサイトPPAの自家消費分は送配電網を介さないため、託送料金や同時同量のための調整費用を需要家が同じ形で負担する構造にはなりません(個別の費用内訳は契約条件によります)。同じPPAでも、オフサイトPPAのうちフィジカルPPAには、送配電網を使うことに伴う費用が構造的に加わる、という違いがあります。

加えて、再エネ賦課金の扱いも異なります。賦課金は小売電気事業者から供給を受けた電気の量に対して課されるため(再エネ特措法第36条2項)、オンサイトPPAで自家消費した電気は算定対象に入りません。一方、オフサイトPPA(フィジカル)で小売電気事業者を介して供給を受ける電気には賦課金がかかります。2026年度の賦課金単価は4.18円/kWh(2026年5月検針分〜2027年4月検針分)で、使用量が大きいほどこの差は効いてきます。賦課金の仕組みは再エネ賦課金の解説記事で詳しく説明しています。

オンサイトPPAとオフサイトPPA(フィジカル)の費用構成を比較した図。オンサイトPPAは送配電網を介さない自家消費分のPPA料金。オフサイトPPA(フィジカル)はPPA契約価格に託送料金、バランシングコスト等が加わる

オフサイトPPAを検討する場面の例──4つのチェックポイント

次のような状況では、オフサイトPPAが選択肢になる可能性があります。

  • 屋根・敷地に設置できる容量をすでに使い切っている、または建物の構造・築年数の制約で設置が難しい
  • 複数拠点の合計で、敷地内だけではまかなえない量の再エネ電力を確保したい
  • 建物が賃借であるなど、屋根に設備を設置するための権利関係の調整が難しい
  • 長期の契約を前提とした事業計画を立てられる

実際のご相談の場では、長期の契約期間に対して発電事業者の事業継続性をどう見るかという懸念や、同じ社内でも「設備管理の手間を避けたいのでPPAがよい」という意見と「資産として自社で保有したい」という意見が分かれる場面が繰り返し見られます。また、倉庫・物流施設では建物のオーナーと入居企業が異なるケースがあり、その場合は敷地内への設置が選びにくいため、調達方式の選択肢が変わってきます。

なお、敷地の外の発電所を活用する関連の調達方法として「自己託送」という制度もあります。仕組みや要件は自己託送の解説記事をご覧ください。

検討の順序──オフサイトPPAは「第3段階」の選択肢

冒頭でも触れたとおり、恒電社では、脱炭素への取り組みを「外から環境価値を買う前に、まず使う電気と購入する電気を減らす」という4つの順序で考えることをおすすめしています。本記事で解説してきたオフサイトPPAは、このうち3番目にあたります。

  1. 省エネ・運用改善:そもそも使う電気を減らす
  2. 敷地内の自家消費:自社の屋根・敷地でまかなえる分を自家消費型太陽光でまかなう
  3. 外部からの再エネ調達:それでも足りない分について、オフサイトPPAなどの外部調達を検討する
  4. 環境価値の購入:最後に残る分を、非化石証書などの環境価値の購入で補う
恒電社が考える脱炭素の順序の図。①省エネ・使用量削減、②自家消費(太陽光)、③外部からの再エネ調達(オフサイトPPA等)、④環境価値の活用(証書等・最後の調整弁)

恒電社がこの順序をおすすめする理由の一つは、前述の費用構造のとおり、敷地内の自家消費分には託送料金や再エネ賦課金がかからないことです。屋根を活用した自家消費型太陽光の実例は武州製氷株式会社様の導入事例で、売電と自家消費の違いは売電と自家消費型太陽光の違いを解説したFAQで紹介しています。

よくある質問

Q. オンサイトPPAとオフサイトPPAは併用できますか?

契約・供給のスキームによっては、オンサイトPPAとオフサイトPPAを組み合わせることも考えられます。屋根で発電した電気を自家消費し、敷地内でまかなえない分をオフサイトPPAで補う形です。具体的な可否は、オフサイトPPAの方式や小売供給契約などの条件を個別に確認する必要があります。

Q. オフサイトPPAはオンサイトPPAより割高になりますか?

契約条件によるため一概には言えません。ただしフィジカルPPAでは、PPA契約価格に加えて託送料金やバランシングコスト等が調達コストを構成し、小売電気事業者から供給を受ける電気には再エネ賦課金もかかります。バーチャルPPAは費用構造が異なるため、方式別の比較が必要です。PPA単価の数字だけでなく、こうした構成要素を含めた実質的な負担で比較することをおすすめします。

Q. 契約時にはどのような点に注意すべきですか?

契約内容によっては、契約期間や中途解約の条件、価格・精算の仕組み、電力および環境価値の受け渡しと帰属、契約終了時の取り扱いなどの確認が必要になります。また、長期の契約となる場合は、発電事業者の信用力をどう見るかも実務上の論点になりやすい点です。2026年5〜6月にも、コーポレートPPAの法務・契約上の留意点を扱うセミナーが開催されており、契約面の確認は実務上のテーマになっています。

まとめ

  • オフサイトPPAは、需要地から離れた場所にある再エネ電源を対象とするPPAの総称
  • 需要場所の屋根・敷地面積に直接制約されず、敷地内だけでは不足する分を補える可能性がある
  • フィジカルは電気と環境価値の両方、バーチャルは環境価値のみを受け取る。費用と契約の構造が異なる
  • フィジカルPPAの調達コストはPPA契約価格・託送料金・バランシングコスト等で構成され、小売電気事業者から供給を受ける電気には再エネ賦課金がかかる
  • 検討はまず省エネと敷地内の自家消費から。オフサイトPPAは、恒電社の考える脱炭素4段階の第3段階(外部からの再エネ調達)にあたる

恒電社は、自家消費型太陽光発電の設計・調達・施工(EPC)を手がける電気設備工事会社です。オフサイトPPAをはじめとする外部調達については、需要家側の要点を整理し、必要に応じて専門のパートナーへおつなぎします。敷地内の自家消費と外部調達をどのような順序で検討するかの全体整理をお手伝いしています。「自社の屋根でどこまでまかなえるのか」「外部調達と組み合わせるべきか」といったご相談も、お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

jintaprofile
株式会社恒電社

恒石陣汰(ツネイシ ジンタ)

日本における再生可能エネルギーの普及と、電力業界の脱炭素化へ大きな可能性を感じ、2020年に恒電社に入社。現在は、YouTubeなどを通じた、電力・エネルギー業界の情報提供をはじめ、電気工事設備工事の内容や流れを解説するなど、マクロからミクロ領域までを解説。第一種電気工事士・第二種電気工事士資格保有。≫プロフィールはこちら

導入の投資対効果はどのぐらい?

  • 電気代
  • 投資対効果
  • CO2の削減

まずは 発電シミュレーション から

発電シミュレーションと
導入後の発電量の比較 例
業種
食品流通業
条件
導入時期:2023年3月
パネル枚数:345枚
設備容量:143.175kW
パネル設置面積:680㎡
屋根面積:3,710㎡
発電シミュレーションと導入後の発電量の比較グラフの例 発電シミュレーションと導入後の発電量の比較グラフの例
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